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250話 ページ19

「さぞ憎かろう。前の戦では、ダビデはイル・イラーの力を奪い、己の支配に利用していた」

ぴくっと(わず)かに反応した自分を呪った。

「今回は融合(ゆうごう)を計り、思いのままだ。もしも、イル・イラーがこのような争いを望んでいなかったら?お前はダビデ復活の為に利用されていた事になる」

アルバの目が大きく見開かれた。

(あわ)れなものだな。未だにお前はダビデの手の内」
「黙れ!黙れ黙れ黙れ!!」

アルバは醜悪(しゅうあく):な程の怒りをあらわにした。
その姿はまるで、男に捨てられた女のようで(あわれ)れではあるが、かける慈悲などチャムスと玉響にはわずかもない。

「私には父の声が聞こえる!お前たちのような愚鈍(ぐどん)な存在とは違う!!」
「そのこえが、ダビデ(にせもの)だったらどうするの?」
「……!」

足元が揺らぐほどの疑惑だ。

これまで聞こえていた声は本当にイル・イラーのモノだったのか

だとしても。
イル・イラーとは我々の世界とは交わることもない高次元のエネルギー体。

真偽を確認するにも、それに関与することなど…

「あいたい?」

会える?
父に?

「ぼくがつれていってあげてもいいよ」

思わず、アルバは玉響を振り返った。
精神を渡る能力は先程の白瑛の一件で証明された。

可能なのか。
本当に?

「イル・イラーと同化したダビデがシンドバッドの内にいる今ならば可能だろう。恐らくではあるが」

何せ前例がない。と、言うが可能性がある。

「条件はわかるな」
「死に損ないどもが…!!」

ぎりっと歯を食い縛った。
これが目的か!!

………!
……!!!!

「何を………、すればいい」
「くろいマギとアモンのおうをつれてきて」
「はぁあ?」

黒いマギ…、つまりジュダルとアリババは死んだはずだ。

「彼らの居場所は暗黒大陸。原始の世界だ」


《 アルパ 》

規則正しく並んでいた石垣造りの家々もその影はなく、無惨(むざん)破壊(はかい)された街並みが足元に広がっている。

あちらこちらから聞こえる悲鳴。
ここが山頂なのが災いした。

逃げ場が限られているのだ。

「僕の国が……」

肩で息をしながら悲鳴を上げ続ける街をシャロットは見渡した。
シャロットがどれ程自国を愛し、行方を憂い、よき指導者であり続けたか。

傍らに立つ紅炎は痛いほど知っている。

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飛燕(プロフ) - わわさん» ありがとうございます。最終章の続きはスピンオフシリーズ4の『星を抱くもの』になっています。よろしくお願いします (2021年11月6日 8時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
わわ - めっちゃ好きです!!ありがとうございます!! (2021年11月6日 0時) (レス) id: 3f77deffba (このIDを非表示/違反報告)
Haruhi(プロフ) - 初コメント失礼します、最初のシリーズからずっと読ませていただいてて、本当に世界観に引き込まれる素晴らしい作品です!マギの原作と同じくらいハラハラドキドキしながら楽しませてもらっています!これからも楽しみにしています(^^) (2020年4月30日 14時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年12月14日 7時

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