249話 ページ18
力強くつむじ風が舞い上がった。
そこにいるジンは、もはや少女ではない。
見上げるほどの巨体を持つジンを見て白瑛は震えた。
それは、求め得た半身。
「パイモン……!」
禁城の風景が消え、元いたアルマトランに周囲の風景が戻った。
白瑛が現実世界に戻った証だ。
ただ立つアランに猫の姿をした玉響は体を擦り寄せた。
どれ程願っても、玉響の主人は肉体に戻れない。
その為に蓄えていた力はもうないからだ。
泣いているだろうか。
なぁ。と、小さな鳴き声をあげ、足にすり寄る。
もどかしい。
どうしてこの体には主を慰める温もりがないのだろう。
「ふふふ。」
不愉快な笑い声の主を玉響は睨み付けた。
「白瑛1人、戦力に戻ったからといって何が変わると言うの?おチビちゃん」
アルバだ。
その喉を噛みきってやりたい。
「気付いたのだけれど。おチビちゃん、貴方、死期が近いわね?」
「黙れ!!」
ガン!!と、狂暴な音を立て玉響はアルバを囲う檻に飛びかかった。
猫の姿を巨大な猛獣の姿に変え、その目はギラギラ怒りに満ちていた。
アランがまだアルパにいた頃、シャロットはアランとの時間を積極的に作った。
『いいかい、アラン。王とは国の指針』
『ししん??』
『海に出たとき船乗りたちは決まった星を目指す。それはわかるかい?』
『わかる!!』
『王とはその星そのものだ。民が迷わぬよう、常に道を指し示し続ける』
シャロットの話は、なぞなぞのようでいつも難しい。
けれど。
『アラン、君にそれが出来るかい?』
シャロットは必死だったのだろう。
幼くして強大な力を手にした子供が迷わぬよう。
「ぼくは、しなない」
「ずいぶん強欲ね」
「たまゆら、おいで」
アランが呼ぶと、アルバを食い千切ろうとする殺気を納め、アランの体にすり寄った。
「ちゃむすもきて」
2体のジンを従えた幼子は、アルバを見上げた。
純粋で一切の
愛されて生まれ生きてきたと証明するかのような眼差しにアルバは心底興奮した。
この子供を絶望の
「お前の『父』を取り戻したいか。」
「なんですって?」
最初に仕掛けてきたのはチャムスだった。
森の賢者とも言われたジン。知能が高く、穏やかで群れでいきる生き物。
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飛燕(プロフ) - わわさん» ありがとうございます。最終章の続きはスピンオフシリーズ4の『星を抱くもの』になっています。よろしくお願いします (2021年11月6日 8時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
わわ - めっちゃ好きです!!ありがとうございます!! (2021年11月6日 0時) (レス) id: 3f77deffba (このIDを非表示/違反報告)
Haruhi(プロフ) - 初コメント失礼します、最初のシリーズからずっと読ませていただいてて、本当に世界観に引き込まれる素晴らしい作品です!マギの原作と同じくらいハラハラドキドキしながら楽しませてもらっています!これからも楽しみにしています(^^) (2020年4月30日 14時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
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