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248話 ページ17

「こっちだよ!はやく!!ぼくのてをにぎって!」

アランが走り出すと、風景が次々と変わっていく。アランは楽々とこなしているそれは、玉響曰く他人の精神に干渉(かんしょう)する能力の1つだと言う。

アランの手を離せば、パイモンと言えど移動の狭間(はざま)で迷い、戻れなくなる。

やがて桃の花が咲き乱れるそこにパイモンの主人はいた。
死んだ両親と兄2人。白龍が白瑛を囲み楽しそうに笑っていた。

「いって、パイモン」

アランの一言に、パイモンはおののいた。
ここは白瑛の精神。
アルバに利用され傷付き疲れ果てた白瑛は幸せだった過去の中で安らぎを手にいれている。

「出来ない……」

ふるふる首を横に振ったパイモンは、どうしていいのかわからないといった顔だ。

パイモンの主人は白瑛。
彼女が全て。
彼女が夢の世界で安息を望むなら、目覚めさせるべきではないのではないだろうか。

「いま、おきないと、おねえちゃんは、こうかいするよ!ぼく、わかるもん!!」
「起きたら、ダビデと戦う事になる!」

わかっている。
白瑛ならば、己の信念に信念にしたがい、血を流し、絶望しながらも力を振るうだろう。

ここにいれば…。

パイモンは混乱した。
白瑛は目覚めぬまま、死ぬかもしれない。
けれど幸せな夢を見ながらの死だ。
それならばそれでもいいのではないだろうか。

「おきないほうが、いやだもん!!!」

アランはありったけの声で叫んだ。

「たたかえるのに、たたかえないほうが、ずっとずっとくるしいよ!」

ぎゅっと唇を噛み締めた。
王とジンは繋がっている。
白瑛は分別があり慈愛に満ちた皇女だ。
けれど、安全な場所に身を隠し、嵐が去るのを待つような女ではない!!

パイモンは一歩一歩歩み寄る度、一文字に引いた唇が(ゆる)んだ。

会いたかった。

知らず知らず、進みよる速度が速くなる。

「白瑛!」

桃色の羽衣をひるがえし、白瑛が振り返った。

「迎えに来た」
「貴方、誰?」

可愛く首をかしげた白瑛の前で膝を折り、小さな手を取る。

思えば不運続きの白瑛。

可哀想で可哀想で愛らしい。

けれど、白瑛は悲劇のヒロインなどではない。
そんなものこの娘には似合わない。
どんな境遇(きょうぐう)に身を置こうとも、震えた手足で尚、真っ直ぐに立ち続けた我が王よ。

今こそお前に王たる力を!!

「帰ろう、白瑛!私達を待つ世界に」

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飛燕(プロフ) - わわさん» ありがとうございます。最終章の続きはスピンオフシリーズ4の『星を抱くもの』になっています。よろしくお願いします (2021年11月6日 8時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
わわ - めっちゃ好きです!!ありがとうございます!! (2021年11月6日 0時) (レス) id: 3f77deffba (このIDを非表示/違反報告)
Haruhi(プロフ) - 初コメント失礼します、最初のシリーズからずっと読ませていただいてて、本当に世界観に引き込まれる素晴らしい作品です!マギの原作と同じくらいハラハラドキドキしながら楽しませてもらっています!これからも楽しみにしています(^^) (2020年4月30日 14時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年12月14日 7時

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