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154話 ページ4

「素敵なお部屋ねぇ。お庭が綺麗!!」

嬉しそうに、はしゃぐ妹と一緒にいると、アルガン島にいたころをより濃く思い出す。
せっかく来たのだからと、あれこれ用意したおやつを差し出すと、嬉しそうに食いついた。

「ねぇ、姉さん!向こうの木までかけっこしない?昔は勝てなかったけど、今なら勝てそうな気がするわ!!」

アンジェの誘いにアンナは首を横に振った。

「日焼けするから、昼間は外にでちゃいけないの」
「なにそれ!」
「ごめんね。でもそういうものだから」

形に良い眉毛を吊り上げ、アンジェは本気で怒り始めた。

「陛下って心が(せま)いのね!紅輝様はそんなこと気になさらないわ!」
「紅輝は自分が美人だから。」

今は光り輝く美青年だが、今後、酸いも甘いも知った渋いおじさまになっていくのかと思うと、背筋が凍る。煌帝国の女性はあらかた持っていきそうだ。

「・・・ねぇ、姉さんも行かない?診療所」
「え?」
「だって、姉さんの国の国民が病で苦しんでるのよ。一緒にお手伝いしましょ?」

ざわっと心が動いた。
確かにアンジェの言うとおりだ。
自国の国民が苦しんでいるのなら助けに行きたい。

でも・・・。

「陛下の許可がないと私はここから出られないから、いいよって言われたらね」
「何それ!それじゃ姉さんの自由はどこにあるの?お願い事の一つも聞いてもらえないの?」
「そうじゃなくて…。それに、今の陛下を1人に出来ない・・・」

毎日、ぐったりするほど仕事をしてから、ようやく帰って来る人を放って行くなんて。
こう言えば、わかってくれると思った。
けれど、アンジェは想像に反して奇妙(きみょう)そうな表情を見せた。

「姉さん、どうしちゃったの?あの人はアランをあんな目に合わせた張本人なんだよ。姉さんを無理矢理嫁入りさせたりして、私たち家族をバラバラにした人じゃない!」

確かにそうだ。
けれど。

「それだけの人じゃないわ」
「情が移ったのですかな?」

情・・・。
確かにそうかもしれない。

けれど、そう言われてしまうと、まるで悪い事をしているようで心が縮こまってしまう。

「・・・と、とにかく、ダメ。行けない」
「姉さん変わったわ。私たち家族より陛下の方が大切なんでしょ。」
「比べるものじゃないでしょ!」
「嘘!もうイイ!!」

アンジェ達が去った部屋で、アンナはじっと庭を見ていた。

私が変わった?
そうなのだろうか。
わからない。

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飛燕(プロフ) - 令和元年おめでとうございます。 (2019年5月1日 6時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - あいにゃんさん» コメントありがとうございます!励みになります。未だ完結しそうにありませんが、頑張りますのでお付き合いお願いします! (2019年4月26日 12時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
あいにゃん(プロフ) - 小休止が入れている→入れられている の間違いです、連コメ申し訳ありません! (2019年4月25日 20時) (レス) id: a7dec96b64 (このIDを非表示/違反報告)
あいにゃん(プロフ) - 物語の起伏の表現がとてもお上手だと思いました。物語を盛り上げるだけではなく、きちんとその合間に小休止が入れているという点が好きです。まだマギの夢小説を書いていらっしゃる方がいて嬉しいです!応援しています☆ (2019年4月25日 20時) (レス) id: a7dec96b64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年4月25日 6時

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