番外編 Snow dance3 ページ9
カツ、カツ、カツ・・・
温かなイルミネーションの中、コートをひるがえしながら騒動の輪に近づいたAはゆっくりと微笑んだ。
「シン。何を遊んでいるの?」
少し低めの声は何故か周囲によく響き、女達はAを振り返った。
ふっと、微笑んだだけで、只者ではないのが一目でわかる。
他の女達には目もくれず、真っ直ぐ歩くと勝手に道が出来た。
どうやら、誘ってくる女達を丁寧に断っていたようだが、イラつく。何を遊んでいるんだか。
グイッとシンドバッドの顔を押さえつけ、頬にキスをすると、悲鳴があがった。
構うことなく艶然な微笑みを浮かべると、揉みくしゃになっていたシンドバッドが笑った。
*
「寒い!寒い寒いさーむーい!!」
「いやー。助かった!女の子も集団になると凄いもんだなぁ」
暢気に笑いながらシンドバッドはAと共に園内に入った。
気候の寒さとは正反対にワールドバザールの中心には大きなクリスマスツリーか飾られており、圧倒的な雰囲気を醸し出している。
「大変!キラキラばっかりで、緑部分が見えないよ。これ。」
とはいえ、眩いばかりの光の渦に魅せられていると、ニョっと目の前に風船が現れた。
「へ?」
「いや。そこで売っていたからな。好きそうだと思って」
ネズミのマスコットを形どった風船をシンドバッドが差し出してくる。
『そこ』と、シンドバッドが差した先には確かにバルーンを売っているお姉さんがいた。
いつの間に・・・。
けれど、こんな格好をした女によく風船を買い与えようとするものだ。
普段なら宝石やら香水やら。そういったものを貢がれるのだが。
「ありがと」
シンドバッドから風船を受け取ると、飛ばされたりしないように腕に紐を結んでもらう。
子供のようだと笑われるかと思ったが、そんなこともなく丁寧に結んでくれた。
シンドバッドにはこういう面がある。
見た目じゃなくて、真実、相手が望んでいるものを見抜く力というか・・・。
ちょっと悔しい。
ワールドバザールを抜けると目に飛び込んできたのは、パンフレットに表紙に載っているシンデレラ城だった。
継母たちの妨害により王子に拝謁を許されなかった娘が、魔法の力で城へ上がり、王子に見初められる。その舞台を再現したらしいが、一変に『夢の国』に来たんだという実感が湧く。
周囲を見渡すと、あちらこちらに大小様々なツリーやリースが飾り付けられ、光で溢れかえっていた。
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ミカノ(プロフ) - 飛燕さん» はい!謝肉祭とか、技名とかの時はつかってます!その方が楽なのでw更新時間、夕方にしたいんですけど、なかなか出来ないんですよね………(汗) (2015年1月5日 13時) (レス) id: 7a421dbefc (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - ミカノさん» 更新時間て少し迷いますよね(笑)昼間は学校がありますし。ちなみに、昨日からルビ機能を使い初めました。ミカノさんは使っていますか? (2015年1月5日 13時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
ミカノ(プロフ) - 飛燕さん» そんなことはないですって!!ww私も夜に更新してるので、夜が弱い人には迷惑ですからww (2015年1月5日 13時) (レス) id: 7a421dbefc (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - イノリさん» 今回、紅炎の周囲にいるのがオバチャン集団設定で、書いていて楽しいですよ(笑) (2015年1月5日 13時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - ミカノさん» 大体22時くらいに原稿が出来上がるので、朝に更新しています。朝に弱い方には迷惑な話です。(笑) (2015年1月5日 13時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
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