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30話 その2 ページ26

本当にどうやって謝罪すればいいのかもわからないほど、申し訳ない。

「国交が開けたと言ってもその程度だと言うことなんだろう。」
「どういう事?」
「思い出しても見ろ。王都にシンドリアの商品を置く店はあったが、まだまだ庶民には馴染みが薄かった。それを踏まえてこれだけ環境に厳しい国だ。正しい情報が伝わるには時間がかかるし、国政に関わるものでなければ詳しい事情は知らされん。なんせ、国家の存亡にかかわる話だ。下手に情報公開すれば、いたずらに国民の不安をあおる。そうだろう?」
「うん」
「俺がお前のハニートラップにかかって、良いように操られているくらいなら、まだまだ平和なものさ」

パッチンとウインクされ、苦笑いするしかない。
サラサラと流れる髪の中に手を伸ばし、シンドバッドの頬を捉えた。

「私とシンが交わした契約。私はシンの意思には逆らわない」
「その力が俺のものである代わりに、この国の絶対的な守護を」

ふと、シンドバッドから視線を外すと、何やら見た覚えのある物体に気が付いた。

「ねぇ?シン。あの芋っぽいヤツって・・・」
「ああ。効果は証明済みのようだから、明日薬草の中に・・。いや。使ってみるか?」
「し、信じらんない!!変態!節操なし!!」

ドカッッ!!

「ぐはっ!お、お前なぁ。足が出る女はどうかと思うぞ!」
「フン!!寝る!」

ゲシッ!!

「うわっ!!おい!ここは俺のベッドだろうがっ!!」
「知らん!反省して一晩中立ってろ!!」




すやすやと、寝息を立て始めたAの寝顔をそっと覗き込むシンドバッドに柔らかな笑顔が浮かんだ。


『悪女』か・・・。

聖女だとは言わないが、『悪女』にしては力量不足だ。
腹を空かせた犬でもいれば自分の食事を与えてしまう『悪女』がどこにいるというのか。

問題はその悪女が具体的に『何を』しているのか。だ。
ただのウワサ話なら、遠吠えと変わらない。
けれど、あのジャンという男からは嫌悪感のみならず、殺気にも似た気配があった。

「おーい。腹を冷やすぞ〜」

タオルケットをかけ直してやっても、起きる気配ない。
やれやれと苦笑をもらしながら、シンドバッドは家を出た。

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ミカノ(プロフ) - 飛燕さん» はい!謝肉祭とか、技名とかの時はつかってます!その方が楽なのでw更新時間、夕方にしたいんですけど、なかなか出来ないんですよね………(汗) (2015年1月5日 13時) (レス) id: 7a421dbefc (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - ミカノさん» 更新時間て少し迷いますよね(笑)昼間は学校がありますし。ちなみに、昨日からルビ機能を使い初めました。ミカノさんは使っていますか? (2015年1月5日 13時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
ミカノ(プロフ) - 飛燕さん» そんなことはないですって!!ww私も夜に更新してるので、夜が弱い人には迷惑ですからww (2015年1月5日 13時) (レス) id: 7a421dbefc (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - イノリさん» 今回、紅炎の周囲にいるのがオバチャン集団設定で、書いていて楽しいですよ(笑) (2015年1月5日 13時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - ミカノさん» 大体22時くらいに原稿が出来上がるので、朝に更新しています。朝に弱い方には迷惑な話です。(笑) (2015年1月5日 13時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2014年10月24日 20時

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