# 昼休み ページ10
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冬に向かおうとする季節。
肌寒さがある中にも、日中は陽が当たり
暖かさをも感じさせる。
「今日もいい天気だな」
『そうだね』
御幸くんと私は一緒にお昼ご飯を食べに、
中庭のベンチに座っている。
御幸くんから一緒に食べようって
声をかけられた時は驚いたけど、嬉しい。
「相変わらず、カフェオレ飲んでるんだ」
ストローをさしたカフェオレのパックを
指差して言ってきた。
『うん!美味しいからね』
そう言ってカフェオレを飲み始めるとハハと笑う彼。
(…御幸くんとご飯を食べるなんて、緊張する)
カフェオレを飲みながらも、そんなことを考える。
「Aの弁当美味そう。手作り?」
チラッと蓋を開けた私のお弁当を見た。
『うん』
すると、少し考えたような様子を見せて
「その卵焼きちょうだい」
そんなことを言ってきた。
『え…!?美味しくないかもよ…』
御幸くんに卵焼きをねだられたけれど
味には自信がない。
「いいから!」
『…分かった。美味しくなかったらごめんね』
箸で御幸くんのお弁当に乗せようとすると、
私の手首を掴んだ。
「ちがーう。ここ」
そう言った彼が指差したのは、御幸くんの口。
(まさか…)
食べさせてって言う意味なのか。
急にそんなことを言われて顔に熱が集まった。
「はーやーく」
御幸くんに急かされるも、気持ちの整理が
つかない。
『…っ』
どうにでもなれ!と意気込んで卵焼きを
彼の口に運んだ。
パクッと食べられた卵焼き。
『…、どうかな?』
「…っ。_____美味い」
御幸くんの口から出た言葉にホットした。
『よかったぁ…』
「はは。何それ。美味いよ」
優しく微笑んだ御幸くんに私も笑い返す。
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作者名:こころ | 作成日時:2020年7月2日 17時