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「…はぁ、よかった」
『え?』
すると、ぎゅっと御幸くんの腕が私の背中に
回った。
「俺、避けられてたから嫌われたんじゃねーの
かなって思ってさ。よかった…っ」
少しだけ掠れている御幸くんの声が
ゆっくり心に染みた。
(私、御幸くんにそんな気持ちさせてたんだ…)
『…っ、ごめんなさい』
小さく呟くと、御幸くんの大きな手が私の頭を
優しく撫でる。
『あ、…お誕生日おめでとう…。
遅くなってごめんね』
御幸くんの腕が離れて、向き合って言った。
「ったく。ほんとだぜ。でも、ありがとう」
『プレゼントは…また明日持ってくるね』
すると、御幸くんは私の頬に優しく触れて
視線が交わった。
『み、ゆき、くん?』
「______なぁ、キスしてもいい?」
『へ?』
付き合ってから時間は経っているものも、
手を繋いだり、ハグはしていた。
(でも…)
『きゅ、急だね…』
「なんか急にしたくなった」
ダメ?なんて言う彼は確信犯だ。
私が、断れないと知っているのに。
『…っ、はい』
御幸くんから視線を外して答えると、
私の両頬に手が添えられた。
御幸くんの動きがスローモーションのように
感じて、唇に優しく、そして温かく触れた。
「大好きだよ、A」
『私も、御幸くんが好き。
お誕生日おめでとう…!』
そう言うと、ニカッと笑う御幸くん。
辛かった時期もあった。
好きでいることを諦めようとも思った。
それでも、大好きな気持ちは変えることが
できなかった。
これからも、私はこの人と一緒にいたい。
あの日に始まった片想いは両想いとなり、
私たちの物語は続いていく。
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作者名:こころ | 作成日時:2020年7月2日 17時