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少し重い足どりで教室に向かっていると
向かい側から歩いてくる倉持くんの姿。
(あ…倉持くんだ)
私に気づいたのか、倉持くんが近づいてきた。
「矢崎じゃねーか。どうしたんだ、そんな顔して」
『おはよう、倉持くん。色々とね…』
ふーんって言いながら窓の外に目線を置いた。
「そう言えば。今朝から御幸のヤローが
ルンルン気分で気持ち悪いんだよ」
『そうなんだ…』
「今日誕生日だからな。お前から祝ってもらえる
のが楽しみなんじゃねーの?」
その言葉を聞くと、グサリと胸に突き刺さった。
(プレゼント…どうしよう…)
再び考え込んでいると、倉持くんが口を開いた。
「あ、御幸」
『…!』
「あ、おい!」
倉持くんの“御幸”って言葉を聞いて、
その場から逃げるように教室に入った。
その日は、部活以外で御幸くんに会わないように
できる限り教室で過ごすようにした。
「どうしたの、A。今日何かおかしいよ?」
『ううん!何でもないよ菜摘!』
部活のときに、御幸くんに謝ろうと決めた。
気持ちが晴れないまま、時間が過ぎ部活になった。
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作者名:こころ | 作成日時:2020年7月2日 17時