◆御幸一也・兄◆ ページ41
*y u m iさんリクエスト*
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夜更かししたから?
お兄ちゃんの作った朝ごはん食べずに学校行ったから?
暑い中部活を張り切りすぎたから?
思い当たる理由はあれこれあって、正直自業自得すぎて言葉もない。
部活時間中、テニスをやりながらくらくらするなぁとは思ってた。けど、まさか倒れるなんて思ってなくて、いきなりすーっと力が抜けて、
目を覚ませば保健室の白い天井だった。
「………多分朝ごはんだな………」
いつも口うるさく「飯を食え」と言ってくるお兄ちゃんと、今日は私が寝坊したから出る時間が違って、まあいいやなんて思って食べなかったから。
むくりと起き上がれば、打ったらしい後頭部がズキンと痛んだ。
「いっ……」
「………A」
「うわっ!いつからいたの!?」
横から微妙な声がして、びくっとみればお兄ちゃん。
シニアのユニフォームを着たお兄ちゃんは、帽子を斜めにかぶってブッスーと不貞腐れて私を見ている。
「大丈夫か?」と小さく尋ねるお兄ちゃんに、こくりと頷けば、布団にどさっと突っ伏した。
「……いきなり、Aが倒れたとか言って、テニス部の顧問が顔面蒼白で突っ走ってきたから」
「……」
「……………まじ寿命縮んだっつーの」
疲れ切った声を出すお兄ちゃんに、「ごめん……」と口ごもれば、むくりと頭を上げて私をポンポンと撫でる。
「無事ならいい」
「お兄ちゃん、もう戻ったほうがいいよ。
一応シニアの4番打ってるんだからさぁ……」
「……なんで倒れたか、自分でわかってんの?」
「……………」
「朝飯ちゃんと食ったんだろうな」
「…………」
「…………おい」
私の言葉は華麗にスルーして、痛いところを突いてくるお兄ちゃんに、私はすーっと目をそらす。「食えよ、俺が作ってやってんのにさぁ」と呆れたようにため息をついて私の二の腕をつかむ。
「こんなほっそい腕して、お兄ちゃん心配してんだからな?」
「………別に細くないし」
「……………まあ確かに前よりはぽちゃっとした…悪い悪い悪い睨むなよ」
デリカシーのないお兄ちゃんをにらめば、お兄ちゃんは帽子をかぶりなおして「よいしょ」と立ち上がる。
そして私の頭をつかんで至近距離までよると「………晩飯、俺が早めに帰って作ってやるから、朝たべれなかった分ちゃんと食べろよ」と笑った。
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◇うちの過保護なコックさん◇
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