◇多田野樹・弟◇ ページ29
*†°*優愛*°†さんリクエスト*
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「いっつきー♡」
「……姉ちゃん恥ずかしいからやめてよ」
「恥ずかしいってなに」
廊下の向こうから歩いてくる弟を見つけてブンブン手を振るとげっという顔で見られて小声で私を止める。
私の隣を歩いている成宮くんに「こんにちは鳴さん」と小さく頭をさげると成宮くんはひらりと手を振る。
「樹ー。今週末家帰ってこないの?」
「週末は試合あるから帰らないよ」
「えー…お姉ちゃん寂しくて死んじゃう」
「弟も弟なら姉も姉だよね」
「ちょっと成宮くんそれどういう意味」
樹の何でもない返しにしょんぼりしていると、「キャラじゃないよ、それ」と成宮くんが私を馬鹿にした目で見る。
「ちょっとー」と成宮くんの肩をたたく。
「私を馬鹿にするのはいいけど、樹を悪く言わないでよね」
「ちょ、姉ちゃん、いいから」
「うちの樹は何にでも一生懸命で、ちょっと残念なところはあるけどそこがまた可愛いんだから!普段私につれない態度とってるくせに意外と甘えん坊でそこもまた可愛い!!!」
「マジでやめて!!!」
「へー」
うちの弟の良さを熱弁する私の言葉に顔を真っ赤にして止める樹とニヤニヤと樹を見つめる成宮くん。
私の口をふさぐ樹に「甘えん坊キャッチャー、これ捨てといてねー」と飲み終わったコーヒー牛乳のパックを渡した成宮くんは颯爽と廊下を歩いて行った。
「姉ちゃん!!!」
「えー、ほんとのことじゃん」
ケラケラ笑う私に樹はため息をついて項垂れると、赤い顔で私を見つめる。そんな彼のいつの間にか私を抜いてしまった頭をポンポンと撫でると「やめてってば」と赤い顔で私の手首を掴んだ。
「ふふふ、樹可愛いー」
「……いい加減にしないと怒るよ」
「スミマセン」
怒ったら怖いことを知っている私は急いで謝ると、ぱっと手を離す。
樹は髪の毛を直すと頭をかきながら「でもまあ…」と小さい声で呟く。
「……褒めてくれたのは、ありがとう」
「……………樹天使」
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◇いいところも悪いところも全部知ってる◇
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