14話※ ページ16
「俺様に味見させてくれよ」
「きゅ、急に抱きついて来ないでください……!」
「はやくーー」
脇腹の方に両腕を通して左肩から顔を出すキバナさんの顔が近くて思わず右に身をよじると更に距離をつめてきた。
八重歯を出しながら口を開けるキバナさんは親鳥から餌を貰う雛鳥みたいでちょっと可愛い……多分、
「今アツアツですよ、少し冷ましますね」
ふーっ、と何回かオタマですくいあげたカレーを冷ましてから手を添えて「はい、どうぞ」と差し出せば大きな口で一気に食べてしまったキバナさん。何回か咀嚼した後すぐに目を輝かせて「うまい!!」と笑ってくれた
「店で売ってるやつより上手いなこれ!」
「ふふ、ありがとうございます。嬉しいです」
「おーおー、お前も食ってみろよ」
「……?」
食ってみろよ、とは言われたけど私の持っていたオタマを奪ってキバナさんは自分でカレーを口に含んだ。
味見じゃなくてもはやつまみ食いである。普通に晩御飯として出す分が無くなるのでやめて欲しいと声をかけようとした瞬間、目の前はキバナさんの顔でいっぱいになった。
「……。……ん!?」
「んー。」
理解するのに時間がかかったが、キバナさんは「口開けろ」というふうに私の顎を下げる
抵抗する間もなく口を開けるとすぐに流れ込んできた少し辛めのカレー。条件反射で飲み込んだ後も口内に残ったカレーを堪能するようにキバナさんの舌がまだ残っていた
「……んん!!んむ、」
「っぷは。お前肺活量ねぇな!」
「よ、余計なお世話です……全く。」
彼との間にできた銀の糸をプチーっと手で払って切ってやる。己が弱い立場になるのはどうも癪に合わないのだ。
私が被害を受けた事を悟った足元のマホイップは「むうう」と攻撃にもならないペチペチとした連続パンチをキバナさんの足に叩きつけ続けていた。
それを左手に抱えて「じゃあ盛り付けますから、リビングで待っててくださいね。大人しくしててください」と言うと「わりーなぁ」と言う通りにキッチンを後にしたキバナさん。
……と思っていたんだけど、言い忘れたわ、と言ってまた戻ってきた。
マホイップに聞こえるか聞こえないかの程度で耳元に手を添えてこそっと彼は耳打ちした。
「────────2回目に味見した方が美味かったぜ?」
「っ、くそ、へんたいジジイめ…」
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シンヤテンション イコール コワイ
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雑草のかきあげ(仮垢)(プロフ) - ポケモンに興味が湧かなかったのですが、今年新しいポケモンのゲームが出たということで占ツク内で面白そうなのを探してみることにしました。1番に出会ったのがこの作品です。めちゃくちゃ好きです。 (2022年12月19日 11時) (レス) @page13 id: dc942b8391 (このIDを非表示/違反報告)
クスノキ - @さん、あなたの言っていることの方が意味わかりません。人それぞれ考え方や価値観は違いますが私はあなたの言っていることを不快に感じましたし@さんの言っていることが間違いだと思います。あと、そんなことでコメントすんな。 (2022年11月12日 17時) (レス) id: b6f8a6712e (このIDを非表示/違反報告)
クスノキ - はじめまして!この作品の作成から約3年たっているのですが、今頃コメントさせていただきます!私もキバナさん大好きで、読んでるときにキュンキュンしながら読ませていただいてます!めちゃくちゃ好きです‼♡ (2022年11月12日 17時) (レス) id: b6f8a6712e (このIDを非表示/違反報告)
れいん - 良かったらフレンドになってくれませんか? sw 1571 5879 0984です! (2022年11月2日 15時) (レス) @page13 id: aebff763ed (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - この作品、検索避けされてないですよ。やめてください (2022年10月2日 0時) (レス) id: 54a83e069f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼竜 | 作成日時:2019年11月29日 11時