空回り三角形【朱桜司】【完】

スタジオ ページ19

連れてこられたのはスタジオで
さっきまで賑やかだったであろうこの場所は静かすぎて不気味だ




彼は私を椅子に座らせてあるものを渡してきた






…酔い止め
何故持ってるんだ朱桜君








朱)緊急の為にあるんですよ。まぁ瀬名先輩のものなんですけど






A)え”っ泉先輩の…買って帰さなきゃ







朱)私が返しますので如月さんは気にしないでください








A)え、でも…





朱)いいから早く飲んでください









…彼は少し気が立っているようだ。
…そんなに私とりまちゃんが仲良くしているのが嫌なのかな









…そんなに彼にとって私は邪魔でしかないのかな







だめだ




ここでしょぼくれモードになっちゃいけない。笑え…笑え私









A)いや〜ごめんね朱桜君。私が機嫌損ねさせちゃった原因なのに。ここまでしてもらっちゃって





朱)いえ、大したことはしていませんよ。…それに、自分にBelly(腹)が立っているだけですので気にやまないでください






A)？






彼の言っている意味が分からず首をひねる







朱)…貴女に、女性一人に頼ってもらえない不甲斐ない自分が腹立たしいのです






A)？





ますます意味が分からなくなってしまった
私に頼ってもらえない自分が不甲斐ないって…どういうことだ
彼に不甲斐なさを感じたことはないし…彼が本当に頼ってほしいと思うのは私じゃないだろう









なのに





そんな真剣な顔で見つめられてしまったら、…真相が分かってても期待しちゃいそうだ









A)朱桜君は充分素敵だし、いつも私は元気をもらってるよ
だからそう自分を責めないでほしいな…私は大丈夫だから






朱)私は！！









大きな声で朱桜君は私の言葉を遮った







朱)私は…私は、あなたに








？)おい、いつまでここにいるつもりだ








朱)！？






A)！！







扉の方から声がした

隣のイケメン→←校舎を出て

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す