シニカル騎士様 ページ13
手を引かれて、教室を出たところまではしっかりと覚えている。
ただ、そのあとの記憶が乏しいのだ。
ええっと、確か、凛月くんに手を引かれて、ブツブツと頭の中で考え事してたら、寝ちゃったんだっけ…?
俺より先に寝ちゃったってさっき言ってたし、なんなら凛月くんが、膝枕してくれてたみたい…?
「ふあぁ〜…♪A良く寝てたよねぇ、疲れてるの?」
可愛い欠伸を零しながら赤い目を細め、色気満載俺は大満足です♪という笑み。
かく言うあたしは、どこから取り出したのか、凛月くんから絆創膏を貰い、傷口に貼って不覚にもはだけてしまった制服を直す。
『疲れてる…のかな?でも、寝てても嫌な夢を見たわけじゃないし…ただ単に、昨日遅く寝すぎただけなのかも。』
「ふ〜ん_____げっ。」
『えっ。』
どこからそんな声出したの?
誰もが聞きたいであろう、眠れる冷笑の黒王子が「げっ」という鈍い声を出した。
ぐえっとかげっとか、凛月くん割とネタセンス満載なんじゃ…なんて、呑気な考えは目の前に立ちはだかる"彼"でパッと消えていってしまう…。
あぁ、久々に曲が書けると思ったのだけれど…。
名残惜しさにうーと軽く唸ると目の前の彼は、仁王立ちになり、有無を言わさず、隣に座っていた凛月くんに脳天チョップをした。
「んぐっ!?…ちょっとぉ、暴力反対だよ〜、セッちゃん?」
「はあ?この状況を見て、誰が"吸血鬼退治チョップ"出さないと思ってるのぉ?」
なんだろう、その壊滅的にとまではいかないけどダサい技は…。
あいにく、制服はまだきちんと着られていなくて、それが脳天チョップに繋がったようだ。
頭を自分でよしよしとしながら、ま〜くんも最近俺の扱いが〜…なんて言うもんだから流石に可哀想に思える。
後でなにかあげよう。あたしのトマトジュース以外で。
「ちょっと。あんたもいつまでそんな所に座り込んでるわけぇ?ほら、立って。行くよ。」
『え、あ、あの…!?』
座り込んで苦笑を零しているあたしを、彼は置き去りにすることは無い。
必ず、その場に流れてる話まで連れてってくれる。
この人はいい人だ。
腕を引っ張られ、反動で立たされ、そのままグイグイと引かれていく。
この人は、…泉さんは、あたしを1人の世界から連れ出してくれた、言わば王子様のような人である。
シニカル騎士様だけど。
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さりな(プロフ) - パスワード教えて下さりますか? (2019年9月7日 21時) (レス) id: d6387d6472 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さゆな x他1人 | 作成日時:2019年6月1日 13時