先輩×後輩=(？)【朔間凛月】 (ページ10)

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｢A｣

俺を心配してくれた多分2つ年下の後輩の名前を試しに呼んでみる

そっと頭を撫でてやれば、モゾッと動くけど起きる気配は相も変わらずない

あーあ、そろそろ夜になっちゃうよ。
王さまが心配するんだろうなぁ…俺、怒られるのかな。

『せ、…ぱい……き、です…』

｢え、なに？｣

Aがなにかをいった
寝言だったのかもしれない

俺の耳には全てが届かなくてなんて言ったのかは分からない

Aはスヤスヤとらしくもなく可愛い寝息をたてて俺を枕にしている

こんな呑気なところも少し王さまに似てるなぁ、なんて。

｢…起きてよ、A｣

さっさと起きてさ、俺の事『凛月先輩』って呼んでよ

俺の心配してきたくせに、あんたがなかなか起きないから俺が心配しちゃうよ？いいの？

そっとAの頬を撫でた時だった

『んぅ……………んへへ…り、つせんぱい…』

｢っはっ……??｣

これもきっと寝言だった
だってAはまだ寝てるんだもん

じゃあなに？あんたの見てる夢に俺が出てるってこと？
そんな幸せそうな顔して、夢の中の俺と何を話してるの？

待ってよ、やめてよそんな顔……

｢あんたが…Aが悪いんだからね｣

ギシ、とベッドが軋む音が保健室に響いた

顔にかかってしまった髪を避けて、見えた頬にそっと

ﾁｭｯ

なんてちょっとわざとらしく音を立てて触れるだけのキスを落とす

１回しただけなのに
息が出来ないくらい心臓が速く速く動いて、目眩さえしてきた気がする

やば、どーしよ

"抑えらんないかも______"

気づけば俺はAを

いまさっきまで自分が寝ていたそこへ移動させて、あろう事か組み敷いている

誰か止めて

俺を止めて

切実に願ったって叶うことはなくて、震える指先が先程唇を落としたその柔らかい頬へと伸びていく

殴ってでもいいから

正直、痛いのは嫌いだ
だけどこの子を傷つけることに比べれば、と一丁前に彼氏面をしてしまう自分にさらに嫌気がさす

焦る俺を他所に俺の｢煩悩｣とやらは隠すことなくAの方へ

ツーッと指先が頬から下へと下がって行った時

｢リッツ？起きてるのか？…開けるぞ｣

シャッとカーテンが開いて俺はバッチリ視線を交わす

｢………………お前、何してんの。｣

こちらを睨みつける様はさながら獅子のようで
思わず背筋が凍る感覚を覚えた

あーあ、確実に王さま怒らせちゃった。

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