先輩×後輩=(？)【朔間凛月】 (ページ37)

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「A！！」

切れる息をただすことなく楽屋の扉を真っ先に開けて名前を呼んだ。

だけどそこにAはいなくて、代わりに王さまがただ一人いるだけだった。

「王さま…ハァッ、Aは…？」

「びっっっくりしたああ……っ。Aならさっきでてったぞ～～～。誰かさんを探しにな？」

完全に入違ったってわけね……それで王さまは変にニヤッとしないでよ、不吉じゃん…。

「早くしないと“ま～くん”にとられちゃうかもな～？」

「分かってる…！」

俺は一目散に駆け出し楽屋を後にする。後ろから「がんばれよ～」って王さまの声だけが聞こえた。

「A…っどこ、」

しばらく走り回ってから、どっちに行ったとか王さまに聞けばよかったと激しく後悔する。

もうま～くんとこ行っちゃったのかも…なんてあきらめかけた時。

『…先輩、見つけました。』

「……っA。」

しゃがみ込む俺の上から降ってくるきれいな声の持ち主は、俺の求めていた子で、彼女もまた少し息を切らしていた。

「なんで、ここにいるの。ま～くん探しに行ったんじゃなかったの？」

『えっ、なんでサリー先輩？？？？』

なんでや？と首をかしげるAに、俺も首をかしげる。

しばらく傾げ続けて、お互いおかしくなって同時に吹き出した。

『凛月先輩ったら変な顔！あははっ、おっかし～の～！』

人のこと言えないでしょ、なんて口には出さないでジッと笑い涙で潤むアップルグリーンの瞳を見つめた。

するとAは『な、何ですか……そんなに見ないで、。』と目を逸らした。

正直、そーゆーのそそられる。

「俺、アンタを探してた。大事なこと伝えたくて。」

『奇遇ですね、あたしもです。』

伝えたいことがあった、と俺を見てほほ笑むAはめちゃくちゃ絵になる。美人で可愛い。

なんて煩悩を浮かべながらお先にどーぞと言えば少しもじもじとし始めるA。

けれどそれも一瞬で、Aは俺の目を見て言葉をかけた。

『あたし、……っ好きなんです！凛月先輩が好きなんですどうしようもないくらい！』

思い続けてたことが勘違いだったらしくてバグる俺の頭。

バグって黙ってれば、聞いてますか？と涙目で頬を染めるAに悪いけれど少しだけ加虐心をくすぐられてしまって。

「ごめん……っ」

『んっ……！？』

俺は我慢できなくて、Aを壁に押し付けて、その手を握りキスをした。

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