従兄妹にお世話になることになりました【まふまふ】

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従兄妹の家に向かうため、

財布や複数のハンカチその他諸々の軽い荷物はいつも出掛ける時に使うカバンに、

日用品や服などの生活に使う荷物は大きめのカバンと学校用のカバンに、

教科書類などの重いものはキャリーケースにとなかなかの大荷物を抱えて何とか家を出た。


電車を使ってマンションがあるという最寄り駅に来ては頑張ってその住宅街に来たはいいものの…

東京生まれ 東京育ちの私でも立ち入った事の無い、明らかな高級住宅街。







貴『(待って待って待ってまふくん、あなたは一体何者ですか…)』







従兄妹、相川 真冬。通称、まふくんは年に一度の親戚の集まりに来たり来なかったりする。


私はというと集まりには毎年いるものの、

物心ついた頃から何だか親戚と話したりするのが気恥ずかしくて無口に下を向いている。


集まりに来たまふくんが、酔っ払いの親戚達にイケメンに育っただのなんだの色々と言われていて少し気になってはいたものの、

そこだけ顔を上げるのも何だかな、と思いずっと見てこなかった。
だからまふくんの顔すら正直言って今も分からない。



音楽の仕事をしていると盗み聞きした事はあるけど、

まふくん自身が遠慮しているのかあまり詳しくは話したがらなくて、あまり良くは分かっていない。





両親は出張が決まってからというものの、ずっとバタバタしていてまふくんの連絡先は貰い損ねてしまった。


私が知っているのは、マンションの住所と名前。

まふくんが知っているのは、今日の昼過ぎ頃に女子高校生の従兄妹が家に来るという事だけ。


知らない場所なんだからせめて最寄り駅まで来て欲しい…とも思ったのだけれど、それは訳ありで厳しいと断られたそうだ。


訳ありと言われちゃ仕方がないからこうやって歩いているわけなのだけれど、

地図アプリが上手く動いてくれなくて正確な場所がわからない…


近くには来ているはずなのだけれど、教えられたマンションの名前はまだ視界に入ってこない。




そんなこんなでウロウロしていると後ろで車が泊まるような音がしてから、数人の男性の声が聞こえた。

恐らくその声の様子からタクシーを利用したお客さんだろう。


まぁ、そんな事は関係ない。

マンションを早く見つけないと、荷物をまとめてパンパンになったカバンを乗せたキャリーを引く私の手が限界を訴え始めてる。


キャリーの上にカバンを乗せて引きずっていたおかげで、心做しか形が歪んでる気がしなくもない。

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