一七一試合目 ページ32
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貴子さんが秀一を見てくれるというので、お言葉に甘え夏を迎えに行く。
「ママ、秀くんは?お留守番?」
「貴子さんに見て貰ってるの」
「貴子お姉ちゃん?パーティーするの?」
「残念ながらしないわよ」
家に帰ると、貴子さんが迎えてくれた。夏は喜んできゃーと叫びながら貴子さんに向けて手を広げる。
「貴子お姉ちゃん!ただいま」
「夏ちゃん、おかえりなさい」
「純次お兄ちゃんは?」
「今日はクラブがあるから遅いのよ」
和室に向かう。そこには秀一と貴文くんが居て、馴染んだとは言い難いが大人しく寝転がっていた。
「秀一、泣きませんでした?」
「大丈夫だったわよ。少しは慣れたみたい」
「秀くんが増えた…」
「夏、違うわよ。貴子さんの赤ちゃん」
「赤ちゃん?名前は、なぁに?」
「貴文くん」
「貴文くん!格好いいね、夏は夏って言うの」
貴文くんは夏に顔を向け、キャッキャッと笑い声を上げ手を振る。これに夏はやられたようで、小さな貴文くんの身体をキュッと抱きしめる。さっきみたいに秀一が拗ねたりしないかと思ったけど、秀一は私に向かって抱っこしろと両手を上げる。
「秀一、ママはこれから洗濯物畳まないとダメなのよ」
そう言うと余計にギューッと私の服を引っ張る。
「ママ、貴文くんも夏の弟にする!」
「え?」
「貴文くん、今日から夏ん家の子ね」
「あら、夏ちゃん貴文見られる?」
「うん!ちゃんとご飯もあげるよ、ママが」
「これこれ、夏さん」
「すっごい素敵な提案だと思うけど、純次も純も悲しんじゃうし、ママも秀一くんのお世話で大変だから連れて帰るわね」
「えー…じゃあ貴子お姉ちゃんいっぱい遊びに来て」
「良いわよ。じゃあ夏ちゃんもいっぱい遊びにおいで」
「行く!」
「お泊まりに来ても良いわよ」
「お泊まりする!ね、ママいい?」
「今度ね。もう少し貴文くんが大きくなったら」
「それっとどれくらい?」
「1年くらい?」
「それって何回地球が回ったらいいの?」
「自転は三六五回転だけど公転は一回」
すると夏はくるんとその場で回る。
「夏が回ったから地球、回ったでしょ?」
「夏、慣性の法則っていうのがあってね」
「Aちゃん、それ子どもには絶対分かんない」
結局、夏は1週間後に貴子さん宅でお泊まりが決まった。
「ちゃんとお手伝いしてね」
「は〜い!」
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豆腐戦士(プロフ) - shinox2さん» 秀一大きくなりました(笑)ズリバイしてハイハイしてつかまり立ちして歩くようになるんですね…。そう考えると何だか寂しくなってきました。秀一の成長はゆっくり書こう(*´ω`*) (2017年4月13日 0時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - やだ〜♪秀ちゃん大きくなったのね〜って、親戚のおばちゃん気分でした。これからズリバイとか始めると可愛いですよ。うちの子はなぜか前進せず後退してました。えりさん同様懐かしいです(^-^) (2017年4月11日 17時) (レス) id: 2f52f37027 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - えりさん» えりさん、お久しぶりです( ´艸`)寝返り打てなくて怒ってる!可愛い!ってなって書きました。親戚の子の話なんですけどね(笑)私の作品でお子さんの小さい頃を思い出して頂いて嬉しいです。常に子育ての良いとこ、悪いとこと書いていこうと思ってます! (2017年4月11日 16時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
えり - 中2なった娘と口喧嘩する様になったりして疲れた時豆腐戦士さんの夏ちゃんや秀くんみてて小さい時思い出させてもらってますょ。ありがとうって伝えたくて…。 (2017年4月10日 21時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
えり - お久しぶりです☆* 夏ちゃんすっかりお姉ちゃんなって…( ; ; )←どこのオバちゃんやw 娘も寝返り壁際で動けんなってブゥブゥ怒ってました(笑)懐かしいです。 (2017年4月10日 21時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年12月10日 14時