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21日目。 ページ25

「春斗くん、大丈夫?」


「…ぅん、ごめんねAちゃん…」


「女の人、まだ駄目?」


「大分平気になったんだけど、触られるとどうしても…」


こう見えて春斗くんは幼い時に知らない女性に誘拐された経験があって、極度の女性恐怖症なのだ。


そんな彼の感情とは裏腹に春斗くんの周りにはいつだって、女性が集まってくる。人を引き込む容姿をしているのだから当然なのだけれど。


だから必死で女性を躱す方法を覚えた。それで、大分彼は苦しみから解放された、と思っていたのに。


稀に彼に触れてくる女性がいる。


"触れられると思い出してしまう"


声を震わせて語る彼が私の脳裏を過った。


未だ女性に対する恐怖が完全に解消出来ていないようだ。


それなのに、何故私は平気なのか聞いたことがあったけれど、"姉さんに雰囲気が似ているからかな"と彼は言っていた。


「珈琲どうぞ。」


「代金はいいですから、ゆっくりなさってください」


何やら気の利く店員さんの様で彼を宥める私たちの元へ珈琲を二つ持ってきてくれた。


「すみません…お気遣いありがとうございます」



「ありがとうございます」



断る訳にもいかず二人して素直に受け取った。
湯気が立ち上り、珈琲豆の香りが鼻を掠める。


「春斗くん、とりあえずこれ飲んで落ち着こう。」


「、うん」


珈琲に口をつけると暖かくほろ苦い味わいが口いっぱいに広がる。どうやら、ここの店員さんは珈琲を入れるのが上手な様だ。私はあまり得意ではないので心底羨ましかった。



「どう、落ち着いた?」



「大分落ち着いたよ、ありがとう。てゆーかさっきのAちゃんかっこよ過ぎたんだけど…」



顔色をそっと伺えば先ほどよりも表情が明るくなっている。よかった、いつもの彼だ。


勢いに任せて飛び出してしまったので、後先考えず春斗くんを名前呼びどころか彼氏扱いしてしまった。そんな私をかっこ良かった、と褒める彼。
そんな彼の様子を見た私は…


「え、まじか。……惚れた?」



調子に乗ってしまった。唯、それだけ。特に意味なんてなかった。



「惚れちゃった。」



「え」



「……うん?」



微妙な雰囲気が私達を包み込む。



どう返事をしたらいいのか、なんて言えば彼が傷つかないで済むのか。平然と言ってのけた彼のその真意は。


眉間に皺が寄るのが自分でわかった。




いっその事この場から逃げ出してしまいたい。



軽率な発言をした数分前の自分を、消し去りたかった。

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作品ジャンル:恋愛
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チョコ - めっちゃ好きです(( (2020年11月9日 1時) (レス) id: b8ba54da77 (このIDを非表示/違反報告)
ももんが(プロフ) - めっちゃおもしろいです!いい感じにシリアスだったり、ころちゃんの猿キャラだったり、キュンキュン要素だったり…最高です!!さとみくん推しで見に来たんですがこれはるぅとくんオチめっちゃ気になります…これからも期待してます!ありがとうございます!! (2020年3月15日 3時) (レス) id: 43039e50b7 (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - ゆらさん» 返信遅くなりすみません!表現力が乏しいので分かってもらえるか心配していたので良かったです〜! ありがとうございます!励みになります (2020年2月14日 1時) (レス) id: d619556bbc (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - 愛由さん» 遅くなりすみません!ゲーム上手い組のさとるぅと凄く好きなので贔屓してます笑 読んでくださりありがとうございます。 (2020年2月14日 1時) (レス) id: d619556bbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 名前も出されていないのにどのメンバーか分かってしまう私はもはや病気です。。。これからも頑張ってくださいね! (2020年1月2日 23時) (レス) id: 7e1be6dd9a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑞乃 | 作成日時:2018年12月16日 23時

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