20日目。 ページ24
待ち合わせ十五分前。準備万端、忘れ物なし。鏡の前で何回も何回も前髪と服装のチェックをしたのだから、 大丈夫だろう。
ワインレッドのスカートの裾を揺らして今日の為に下ろしてきた黒のショートブーツの足音を鳴らして待ち合わせ場所に向かう。
「うぅ、さっむい…」
日が出ているのに風が冷たい。
なるべく身体を冷やすのを避ける為、日陰の多い道を遠ざけて道を進む。
寒さで毛穴が全部開いた気がする。
ロック画面を開き時刻を確認すれば、待ち合わせ時刻十分前。
きっちり余裕を持って待ち合わせ場所であるカフェに到着した。
「あー…」
…それにも関わらず、向かった先には見知った彼の姿。沢山の女の人に囲まれていたが。
結論から言えば彼は私服も圧倒的イケメンだった。黒のチェスターコートに白ニット、細身の体にフィットした黒スキニー、差し色の首元の黄色のタータンチェックのマフラー。
時々手元のスマホに視線を向けたり、伏し目がちで遠くを見つめる仕草。恐らく、私を探しているのだろう。
彼は集まる女性をいつものペースで躱して、私のことを待ち続ける。カフェの横の壁、丁度彼の死角になる場所から彼を見つめて少し。
彼の纏う空気が澄み過ぎていて、近寄れなかった。どうにかしてくれ、そのアイドル並のオーラ。
そんな臆病な私に契機が訪れる。
「ねぇ、さっきからずっといるよね…?
私、友達と待ち合わせてたのにドタキャンされちゃって…良かったら、一緒にお茶でもしませんか。」
毛先が緩く巻かれたゆるふわ系女子。所謂、うさぎ女子という奴がふわふわと髪の毛を揺らして彼に話しかけた。
彼はいつも通り逃げようとするも中々彼女は引かない。
暫く経って、首を縦に振らない彼に不満を覚えたのか、女は彼の腕を掴んだ。
「ッッ!!!」
春斗くんの目が、一瞬恐怖に満ちた気がして。
「春斗。」
「ごめんね、私の彼氏だから。」
彼女に掴まれた腕を振り払って、彼の手を引く。彼の様子を見たら、居ても立っても居られなかった。
早く助けてあげられなくてごめんね、ごめんね…と臆病な自分を何度と何度も呪った。
唖然とする彼を他所に強引に店内に連れ込む。チリン、とカフェのベルが鳴る。
「いらっしゃいませ」
「お好きな席へどうぞ」
優しそうな店員さんに軽く会釈して、アンティーク調の店内を見回す。
日が出ているからテラス席もお洒落だと思ったが、人目につかなさそうな店内の端の席に座った。
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チョコ - めっちゃ好きです(( (2020年11月9日 1時) (レス) id: b8ba54da77 (このIDを非表示/違反報告)
ももんが(プロフ) - めっちゃおもしろいです!いい感じにシリアスだったり、ころちゃんの猿キャラだったり、キュンキュン要素だったり…最高です!!さとみくん推しで見に来たんですがこれはるぅとくんオチめっちゃ気になります…これからも期待してます!ありがとうございます!! (2020年3月15日 3時) (レス) id: 43039e50b7 (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - ゆらさん» 返信遅くなりすみません!表現力が乏しいので分かってもらえるか心配していたので良かったです〜! ありがとうございます!励みになります (2020年2月14日 1時) (レス) id: d619556bbc (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - 愛由さん» 遅くなりすみません!ゲーム上手い組のさとるぅと凄く好きなので贔屓してます笑 読んでくださりありがとうございます。 (2020年2月14日 1時) (レス) id: d619556bbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 名前も出されていないのにどのメンバーか分かってしまう私はもはや病気です。。。これからも頑張ってくださいね! (2020年1月2日 23時) (レス) id: 7e1be6dd9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑞乃 | 作成日時:2018年12月16日 23時