君と来年も_satomi ページ21
近所の神社にお参りに来た、私とさとみくん。
外はまだ薄暗い。かじかんだ指先を裏起毛のパーカーのポケットに突っ込んで、彼の隣をゆっくり歩く。
吐く息が白く、凍えるような寒さが私たちを囲む。
紅い紅い鳥居を抜けて、境内の中に入ると多くの参拝客が手を合わせていた。
特に参拝客の中でもカップルがよく目立つ。
この神社には恋愛成就の神様がいるらしく、それを目当てにやってきたのだろう。私もその内の一人であった。
前の参拝客が終わって、私たちの番が来た。
二人で鈴を揺らして、手を合わせる。
薄目で開けて彼の横顔を見つめると、何処か幸せそうに手を合わせていた。
暫くてしてさとみくんに腕をひかれて境内を後にした。
「何お願いしたの?」
「秘密。」
「さとみくんは?」
「俺は、沢山のリスナーさんを幸せに出来ますように、かな。」
「…私のことじゃないの。」
正直妬いた。彼女がいるのにリスナー、リスナーって。リスナーさんが彼等にとってどれだけ大事な事か分かってるはずなのに。
私と二人でいる時くらい、忘れてのんびりして欲しいなぁ。
彼にふと視線を向けると、ニヤニヤと笑い出した。
「妬いたの?かわいいなあ。」
「うるさい、ばか。」
「俺が今年も必ずAを幸せにするから、神様に頼まなくてもいいの。」
"俺の力で、幸せにしたいじゃん"
「束縛強い?」
「全然…嬉しいよ。私もさとみくんと二人で幸せになるよ。」
「俺の全ては、Aのもの。何があっても命に変えてでも、護るから。」
口調は柔らかいけれど、有無を言わせぬ決意を秘めた声がすぐ近くで聞こえた。
ドキドキし過ぎて、酸欠状態だ。
「私、誰かに守って貰う程か弱くないよ…??」
私は、女の子らしさの欠けらも無い。
今だって周りの女の子が来てる様なふわふわしたコートではなく、パーカーにジーンズにスニーカー。
暴力までには至らないが、口喧嘩では誰にも負けたことがないくらい悪知恵が働くタイプの人間だ。
言った後すぐに後悔した。
思わず頭を抱えたくなるけど、そんな私に構わずさとみくんは静かに頷く。
「うん、知ってる」
ぱっとさとみくんを見た私の髪を、優しい手がそっと撫でてくる。
「でも、どんなにAが強くても、好きな人を護りたいって気持ちは変わんないの。」
「だからこれからも護らせて。」
返事の代わりに彼の手を握り返して笑った。
"来年も君といられますように"
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チョコ - めっちゃ好きです(( (2020年11月9日 1時) (レス) id: b8ba54da77 (このIDを非表示/違反報告)
ももんが(プロフ) - めっちゃおもしろいです!いい感じにシリアスだったり、ころちゃんの猿キャラだったり、キュンキュン要素だったり…最高です!!さとみくん推しで見に来たんですがこれはるぅとくんオチめっちゃ気になります…これからも期待してます!ありがとうございます!! (2020年3月15日 3時) (レス) id: 43039e50b7 (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - ゆらさん» 返信遅くなりすみません!表現力が乏しいので分かってもらえるか心配していたので良かったです〜! ありがとうございます!励みになります (2020年2月14日 1時) (レス) id: d619556bbc (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - 愛由さん» 遅くなりすみません!ゲーム上手い組のさとるぅと凄く好きなので贔屓してます笑 読んでくださりありがとうございます。 (2020年2月14日 1時) (レス) id: d619556bbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 名前も出されていないのにどのメンバーか分かってしまう私はもはや病気です。。。これからも頑張ってくださいね! (2020年1月2日 23時) (レス) id: 7e1be6dd9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑞乃 | 作成日時:2018年12月16日 23時