【文スト】素敵帽子さんの拾ったボタン ｰ異重力恋愛物語ｰ【中原中也】

ボタンが6つ ページ7

太「私の名は太宰治。君にポートマフィアの仕事が向いているかどうかは知らないけど、辛くなったらいつでも私のところにおいで。」


そう言って太宰がAの手を取ったその時だった。


『ぇ……』


ブワッとAの周りが光ると、茶色の短かった髪、小さかった身長、顔立ち、見た目の全てが変わった。

ストレートロングの黒髪、155あるかないかくらいの身長、綺麗な顔立ち、膨らみかけの胸、細長い脚…

その姿は海月Aにそっくり…いや、本人だった。


中「な……っ！！」

太「…！！」


目の前に突然有名人が現れ、驚きを隠せない2人。


『ひっ…！！』


Aは小さく悲鳴をあげると、太宰の手を振り払い走り去ろうとしたが、動揺して後ろに転んでしまった。


『そ、そんな…私の魔法が……！！』


テレビの中で何度も聞いた美しい高音と姿が目の前にあることに、中也は顔を赤くしている。

太宰が1歩ずつAに近付くとAも後ずさりをする。


『こ、来ないで！！』

太「それ、魔法じゃないよ」


Aは壁まで追い詰められてしまった。


太「異能力者だね、恐れることはないよ。」


太宰はガクガクと震えるAをそっと抱きしめた。


太「少し話をしようか。」


太宰は泣いてしまったAを抱き上げ、硬直している中也の膝裏に蹴りを入れてから近くの喫茶店に入った。

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