【文スト】素敵帽子さんの拾ったボタン ｰ異重力恋愛物語ｰ【中原中也】

ボタンが24こ ページ28

数十分後、Aから電話があり合流した。

Aは両腕に凄い量のショッパーをかけている。


中(買ってやろうと思ってたのに。せめて…)


中「持ってやる」

『じゃあこれ以外お願いします！』


Aは1つのショッパーを除いて全てを渡した。


中「全部渡せばいーじゃねぇか」


俺の異能使えば重くねぇし、と云う。


『これだけは自分が持っていたいんです』


そう云ってにこっと笑った。

中也は右肩に、Aは左肩にショッパーを下げ、また手を繋いだ。

Aは何かに気付いたようだ。


『中也、それ、何か買ったの？』


中也の手に小さな水色のショッパーがかかっていた。


中「あ？あぁ、ちょっとな」


曖昧な答え方をして、目をそらした。

時計が目に入る。

ちょうど正午。


中「腹は？」

『空いた！』

中「そこにするか」


中也が指さしたのは小さなオムライス専門店。

オムライスはAの大好物だ。


『やったぁ！私ケチャップライスのデミグラスソースのやつ！』

中「はいはい」


子供舌なんだな、と思いながら店に入った。


中「すみません、」

「はい、只今お伺い致します」

中「これを1つ」

「お1つですね。…あの、も、もしかして海月Aちゃんですか…？」

『あ、いえ、よく云われるんですが…えへへ』

「た、大変失礼しました！すぐにご用意致しますね！」


ウエイトレスさんが去っていたのを確認したAは中也と顔を見合わせて静かに笑った。

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