【10】In the snow/N ページ10
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「うわ……雪だ」
「ホントだ…」
すっかり辺りは暗くなって。
Jewelry・Sakuraを出ると、凍えるような寒さが俺たちを襲った。
さらに、ヒラヒラと舞うように降る雪が、一層寒さを誘う。
「てか潤くん、結局買ったんですね…」
「ああ…。やべぇよ、今後の生活費、どうしよう…(笑)」
「なら買わなきゃよかったじゃないですか(笑)7万ですっけ…?
というか大切な人って誰?」
「………。」
突然、俯いて黙り込んでしまう潤くん。
え?と俺は声を漏らすが、返事はない。
なんか俺、マズイこと言ったか…?いや、言ってないはずだ……
「……ニノ、引かないか?」
「は?」
「だから、今から俺が話すこと、聞いても引かないでくれよっ!?」
「え、別に引きませんけど……」
そういうと、潤くんがバッと上げて、俺の目を射抜くような視線で見つめてくる。
「俺………、翔さんのこと、好きなんだよっ!!!」
「……へ?」
「これ……翔さんへのプレゼントなんだっ。
翔さん、1月が誕生日で……でも俺、今月中に異動だからさ……渡せないと思って、早めに買おうと思ったんだよ。」
引いたか…?と若干目線を下げて、潤くんが俺に言う。
いや、引いたっていうより……びっくりはしたけど
「…全然?だって俺の恋人、男ですもん」
「はぁ!?!?」
思わず、俺もカミングアウト。
潤くんの叫び声に、周りの人が一斉にこっちを見る。
彼は、そのことに気づいて、慌てて口を押さえると、ぺこぺこと頭を下げた。
「まじかよっ……、なんで言ってくれないんだよ」
「だって聞かれませんでしたし。聞かれたら教えてましたよ」
「……ふぅん…俺たち……何から何まで一緒っていうか……(笑)」
「ふふふ、いいことじゃないですか」
再び止めてしまった歩みを進める。
.
.
……ぇ……?
あの……後ろ姿……
俺が、”それ”を見たのは、俺がいつも使う、コンビニの前だった。
夜だというのに、そこは相変わらず煌々としていて。
その光の中、彼が――――智が立っていたんだ。
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arashi_yama1017(プロフ) - SOって後半書いてたのでこれは付き合うんじゃないかと思ってましたが違ったみたいですね。たいていCPが2つある時後半とくっつくと思っていました、後完全なる翔くんの片思いじゃないですか?すいません。山しか呼ばないもんで。 (2016年8月16日 3時) (レス) id: b2b1bc4496 (このIDを非表示/違反報告)
まゆか - すごく、感動しました!泣けました!このような、素敵な作品を作っていただいて。本当にありがとうございます! (2015年6月28日 14時) (レス) id: 3774ee6bdc (このIDを非表示/違反報告)
大宮sk♪(プロフ) - 智好き゚(゚´Д`゚)゚和好き゚(゚´Д`゚)゚大宮好き゚(゚´Д`゚)゚感動しました!! (2013年9月12日 23時) (レス) id: e3e9052229 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても柔らかな素敵なラストに、胸が熱くなりました。けいさんの温かさが沁みいるような、素敵な時間をありがとうございました。また、けいさんの新しいお話しと出逢えるのを楽しみに待っていますね。ありがとうございました。 (2013年5月20日 21時) (レス) id: 5b5e567b32 (このIDを非表示/違反報告)
智歌(プロフ) - けいちゃん、完結おめでとう^^ うぉーついに完結か……、今までありがとうございました!!おーみやさん達が幸せになれてよかった……// にやにやしながらPCに向かっております(笑) 次も楽しみに、首を長くして待ってます← ではでは!! (2013年5月20日 21時) (レス) id: e8f0ec24b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:けい | 作成日時:2012年12月31日 14時