Snowflake (NO/SO) 《5/20 完結》

【06】関係/N ページ6

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「いってらっしゃい」



玄関で、手を振る智の額に、軽くキスを落とすと俺は家を出た。


しばらく歩いて、また振りかえると、そこにはまだ智が立っていて。

俺が振り向いたことに気付くと、彼は嬉しそうにふわっと笑い、また手を振ってくれた。

それだけで心が躍った俺も、笑顔で手を彼に振り返す。


数秒間、彼と目を合わせると、口を「じゃあね」と動かし、前を見て歩きだした。


冷静になって考える。


…もし、今の状況を何も知らない他人が見たら。

その人はどう解釈するんだろう…。


いや、別にこの関係を隠したいって訳じゃなくて。単なる興味で。


仲のいい兄弟？じゃあ、どっちが兄で、どっちが弟だろう？

俺が兄貴？あいつが弟？

それとも、あいつが兄貴で……



…でも、あいつ……童顔だし、前者だろうな…。



なんか、考えてる方がむなしくなってきて、俺はその思考を取り払った。



何時の間にか、目の前には駅。


深々と思いに耽ってる間に着いていたようだ。



カバンの中から定期を取り出し、電車に乗るべくホームへ向かった。




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あっという間に会社に着いてしまった。


俺が務めているのは、一応大企業。

そこの宣伝課、っていうところ。



まだまだ下っ端の俺は、毎日沸々と湧いてくるストレスと格闘しながら毎日を過ごしていた。




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「おはよ、ニノ」

「ああ、潤くんか。おはようございます」




自分のデスクにカバンを置くと、後ろから声をかけられた。

振り向くと、そこには見知った顔。




「今日も濃いですね、カオ」

「うるせ」



潤くんは俺の同僚。デスクも隣だから、結構仲いい。


昼食とかもよく一緒に食べてるし。




「そういや、今日早めに上がれるってさ」

「え？どうしてですか？」

「さあ。俺もよく分からないけど……」




理由は何にしろ、早く家に帰れることは嬉しい。


きっと目の前の男もそうなんだろう。顔がにやけてる。



「なあ、ってことでさ。今日、終わったらちょっと付き合ってくんね？」

「……何を？」

「買いたいもんがあって……、ニノん家の近くの店。いいだろ？なっ？」




じぶじぶ小さく頷くと、潤くんが嬉しそうに笑った。

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