【29】電話の向こう側/S ページ29
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「……もしもし。ニノ?」
『………そうですけど。翔さん……ですよね』
電話の向こうで、はぁ。とニノが息を吐くのが分かった。
もともと低かった彼の声は、俺が電話の相手だということを知った途端、さらに低さを増す。
ピリピリと俺たちの間に流れる雰囲気を感じ取ったのか、相葉くんはぶるりと体を震わせると、静かに智くんの手を握りしめた。
「お前……智くんとそういう関係だったんだな」
『あなたこそ……、智とそういう関係だったとは思いませんでしたよ?』
彼が俺に言った”そういう関係”
きっと仕事仲間、そういう意味だろう。そう思って、俺は
「……まぁな…。」
告げてしまったんだ。
電話の向こう側で、彼がひゅっと息をのんだのが聞こえた。
『はははっ………やっぱり』
「…てか…お前、どういうつもりだ?智くんをあんな目にあわせて」
『あんな目……?なんのことです?』
「こんな寒い雪空の下にTシャツ一枚で投げ出して……
高熱出して震えてるっていうのに連絡一本も入れず、迎えにも来ない……
ふざけるなよっ!!」
『ぇ……?』
一瞬で彼の声音が弱弱しいものに変化した。
俺は構わず言葉を続ける。
「俺はな……、ずっと智くんのことが好きだったんだよ!
でも、いつも彼は幸せそうに、自分の”大切な人”を語るから……知らないそいつに任せようって思ってた……。
笑えてねぇんだよ……。辛そうなんだよ!今の智くんは…!
お前が迎えに来ねぇんだったら……俺がもらうからな……っ!」
息を切らしながら吐き捨てた俺。電話の向こう側に意識をやると、
ツーツー
という電話がきれたことを示す音が鳴り続けていた。
少し乱暴に俺は携帯を閉じると、相葉くんに向き直った。
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arashi_yama1017(プロフ) - SOって後半書いてたのでこれは付き合うんじゃないかと思ってましたが違ったみたいですね。たいていCPが2つある時後半とくっつくと思っていました、後完全なる翔くんの片思いじゃないですか?すいません。山しか呼ばないもんで。 (2016年8月16日 3時) (レス) id: b2b1bc4496 (このIDを非表示/違反報告)
まゆか - すごく、感動しました!泣けました!このような、素敵な作品を作っていただいて。本当にありがとうございます! (2015年6月28日 14時) (レス) id: 3774ee6bdc (このIDを非表示/違反報告)
大宮sk♪(プロフ) - 智好き゚(゚´Д`゚)゚和好き゚(゚´Д`゚)゚大宮好き゚(゚´Д`゚)゚感動しました!! (2013年9月12日 23時) (レス) id: e3e9052229 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても柔らかな素敵なラストに、胸が熱くなりました。けいさんの温かさが沁みいるような、素敵な時間をありがとうございました。また、けいさんの新しいお話しと出逢えるのを楽しみに待っていますね。ありがとうございました。 (2013年5月20日 21時) (レス) id: 5b5e567b32 (このIDを非表示/違反報告)
智歌(プロフ) - けいちゃん、完結おめでとう^^ うぉーついに完結か……、今までありがとうございました!!おーみやさん達が幸せになれてよかった……// にやにやしながらPCに向かっております(笑) 次も楽しみに、首を長くして待ってます← ではでは!! (2013年5月20日 21時) (レス) id: e8f0ec24b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:けい | 作成日時:2012年12月31日 14時