【26】もう1人の存在/S ページ26
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俺は、智くんの顔の高さに、自らの顔の高さを合わせるようにしてしゃがみこむと、
そっと声をかける。
「…智くん。
何があったの……?話してくれる…かな?」
「………」
彼は一瞬だけ俺の表情をその目に映す。でも、本当に一瞬。
何も言うことなく、彼は瞳を再び閉じた。
「……」
でも、無理に言わせることはさせたくない。
俺は、相葉くんに目線でそのことを訴え、彼が小さく頷いたのを確認すると、智くんの耳元に少し顔を寄せた。
「…智くん、言えるようになったら話して。
待ってるから」
「……」
返事は、なかった。
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「……ねえ、翔ちゃん。実はさ、俺、翔ちゃんと、もう1人連絡しようか迷ったんだよね」
「…え?どういうこと」
唐突に、相葉くんが話しかけてきた。
彼は、智くんの柔らかい髪を撫でながら俺の隣に座り込む。
「俺、ちょうど翔ちゃんに電話しようと思った時に、翔ちゃんから電話がかかってきた」
「………?」
「つまりさ、大ちゃんの着信履歴にある人に電話しようと思ったんだ。それも頻繁な人。
頻繁な人なら仲いいでしょ?」
「…ああ、そういうことね」
俺は、視線を相葉くんの顔から、智くんの表情に移した。
相変わらず顔は赤く、口は半開きで。
そっと額に手を伸ばすが、想像以上の熱さに顔をしかめる。
「…で?もう1人って?」
視線はそのまま、相葉くんに問いかける。
「……実はさ、その人の方が、翔ちゃんより回数多かったんだよね。全体的には。
最近は翔ちゃんの方が多かったみたいだけど」
あ、勝手に履歴覗いたこと大ちゃんには内緒ね、と彼が付け加える。
分かったよ、と俺が答えると、彼は笑顔で続ける。
「………”二宮和也”さん…。
翔ちゃん、知ってる?」
――――二宮和也って……
ニノ、のことか…?
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arashi_yama1017(プロフ) - SOって後半書いてたのでこれは付き合うんじゃないかと思ってましたが違ったみたいですね。たいていCPが2つある時後半とくっつくと思っていました、後完全なる翔くんの片思いじゃないですか?すいません。山しか呼ばないもんで。 (2016年8月16日 3時) (レス) id: b2b1bc4496 (このIDを非表示/違反報告)
まゆか - すごく、感動しました!泣けました!このような、素敵な作品を作っていただいて。本当にありがとうございます! (2015年6月28日 14時) (レス) id: 3774ee6bdc (このIDを非表示/違反報告)
大宮sk♪(プロフ) - 智好き゚(゚´Д`゚)゚和好き゚(゚´Д`゚)゚大宮好き゚(゚´Д`゚)゚感動しました!! (2013年9月12日 23時) (レス) id: e3e9052229 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても柔らかな素敵なラストに、胸が熱くなりました。けいさんの温かさが沁みいるような、素敵な時間をありがとうございました。また、けいさんの新しいお話しと出逢えるのを楽しみに待っていますね。ありがとうございました。 (2013年5月20日 21時) (レス) id: 5b5e567b32 (このIDを非表示/違反報告)
智歌(プロフ) - けいちゃん、完結おめでとう^^ うぉーついに完結か……、今までありがとうございました!!おーみやさん達が幸せになれてよかった……// にやにやしながらPCに向かっております(笑) 次も楽しみに、首を長くして待ってます← ではでは!! (2013年5月20日 21時) (レス) id: e8f0ec24b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:けい | 作成日時:2012年12月31日 14時