【25】赤く染まる頬/S ページ25
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「…ここだ」
はぁ、と白く染まる息も分かる寒さの中、
俺は肩を上下させ、息を切らして一軒のアパートの前に立っていた。
さっき、相葉くんに告げられた住所がここだ。
確か……203号室。
カン、カン、と鈍い音が響く階段を上り、2階へと上がる。
5部屋ほどが横に並ぶ壁。俺はそれを端から確認していく。
…206…。205…。……203。
ここだ。
表札には、確かに「相葉」の文字。
俺は、一度深呼吸をすると、扉をノックした。
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……ドタドタッ、ガシャーン!!
「はいはいっ…!いてて……今開けます!」
扉の向こうから、大きな物音と共に、さっき電話越しに会話していたその声が聞こえてきた。
バンッ!と勢いよく扉が開け放たれ、その向こうに1人の男が現れた。
「あ…っ、翔ちゃんね!?早く!早く上がって!」
「ぇ、ちょっ、翔ちゃんって!?」
「いいから!そんなの後!!」
まあ、確かに後でいいや。気になることはたくさんあるけど。
俺は、相葉くんに腕を引かれ、そのまま部屋の奥まで連れ込まれる。
小さな部屋の、端に置かれたベットの上に、力なく横たわる君をとらえた瞬間。
「――智くんっ!」
彼の手を振り払い、思わず駈け寄ったんだ。
「……ん……しょ……」
「智くんっ!?分かる?」
「………ぅん」
小さく頷いた君。
覗き込んだ顔は、いつも以上に真っ赤に染まり、瞳も熱のせいか潤んでいた。
苦しそうに浅い呼吸を口で繰り返し、潤んでいる瞳を開け続けるのも辛いのか、すぐにそれは閉ざされてしまう。
「……大ちゃん、公園のベンチで倒れてたの」
「…え?この寒い中?」
俺の隣にす、と移動してきた相葉くんが小さな声で言った。
今にも泣きそうな声。
うん、と俺の問いに相葉くんが頷く。
「でも…理由話してくれなくて。
翔ちゃん……何か知ってる?」
だから翔ちゃんって……、そう突っ込もうと思ったけど、今はそんなこと言ってる場合じゃない
そう思い、喉もとでそれを引き留めた。
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arashi_yama1017(プロフ) - SOって後半書いてたのでこれは付き合うんじゃないかと思ってましたが違ったみたいですね。たいていCPが2つある時後半とくっつくと思っていました、後完全なる翔くんの片思いじゃないですか?すいません。山しか呼ばないもんで。 (2016年8月16日 3時) (レス) id: b2b1bc4496 (このIDを非表示/違反報告)
まゆか - すごく、感動しました!泣けました!このような、素敵な作品を作っていただいて。本当にありがとうございます! (2015年6月28日 14時) (レス) id: 3774ee6bdc (このIDを非表示/違反報告)
大宮sk♪(プロフ) - 智好き゚(゚´Д`゚)゚和好き゚(゚´Д`゚)゚大宮好き゚(゚´Д`゚)゚感動しました!! (2013年9月12日 23時) (レス) id: e3e9052229 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても柔らかな素敵なラストに、胸が熱くなりました。けいさんの温かさが沁みいるような、素敵な時間をありがとうございました。また、けいさんの新しいお話しと出逢えるのを楽しみに待っていますね。ありがとうございました。 (2013年5月20日 21時) (レス) id: 5b5e567b32 (このIDを非表示/違反報告)
智歌(プロフ) - けいちゃん、完結おめでとう^^ うぉーついに完結か……、今までありがとうございました!!おーみやさん達が幸せになれてよかった……// にやにやしながらPCに向かっております(笑) 次も楽しみに、首を長くして待ってます← ではでは!! (2013年5月20日 21時) (レス) id: e8f0ec24b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:けい | 作成日時:2012年12月31日 14時