Snowflake (NO/SO) 《5/20 完結》

【01】白い息/N ページ1

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「さみ……」



冷たい風が頬を撫でる冬。

口から出ていく白い息に、暖かさを求めながら、俺は明るく光る街中を歩いていた。


もうすぐクリスマス。


どこを見ても、男女２人組、つまりカップルが幸せそうに手を繋いで微笑みあっている。


きっと……、前までの俺なら。


羨ましい…とか……、その光景を、美しいと思えていただろう。



でも、今は違う。


それが、妬ましくて仕方ない。


俺”たち”の家でだらしなく過ごして……俺の帰りを待っているであろう、

愛しい”あいつ”の姿を思い出してしまうから。


俺とあいつは付き合っている。


愛しい、その気持ちに嘘はないんだ。


本当に、愛しくて愛しくて仕方ない。



そいつと俺は……一緒に暮らしていて。

俺が、一緒に暮らすことを提案したから、かっこつけたくて家賃以外は俺が負担することになった家で。


家賃は折半。そう、あいつが提案した。



”そこまで和に迷惑かけられないから……”



…その言葉、もう一度言って欲しい。



きっと今頃お前は、テレビの前のソファーの上で、夢の世界を旅しているんだろう。


いつからだろう。

仕事終わりで疲れて帰ってきた俺を、玄関まで”おかえり”と迎えてくれなくなったのは。



…そんなお前に、最近苛立ちを覚えているのも嘘じゃないんだ。



仕事もしてないお前は……確かに家賃は半分払ってくれている。

でも……バイトくらいしてもいいんじゃないか？



こんなことなら、全額を折半すればよかった…。

そうすれば、お前も仕事……するだろう？




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俯いて…瞬きを１つした俺は、出していた両手をコートのポケットに突っ込み、


再び前を向いて……家へと向かう。



……智、お前が待つ家に。

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