二人の距離 part2【御幸一也】

第83話 ページ34

【倉持side】


今日の放課後練習で御幸はいつも以上に調子がいいように見えた。




倉持『……なんか今日のお前、すげえ絶好調じゃね？』


御幸『ははっ！そうか？
てゆーか俺は大体いつも好調だからw』


倉持『うぜえ。』




どーせ高島といいことあったとかそんなとこだろうけど。

まあ、ノロケっぽくなったら面倒くせえから何も聞かないでおいた。






.






沢村「───あれ、倉持先輩一人っすか？
増子先輩は？」




寮のベッドで寝転がっていると、沢村が風呂から戻ってきた。




倉持「純さん達と素振りしに行った。」


沢村「ほお。倉持先輩は行かないんすか？」


倉持「なんか今日は乗り気じゃねえんだよ。」


沢村「珍しいっすね。」




濡れた髪をタオルでわしゃわしゃ拭く沢村を横目に見る。

毎日してる自主練に気乗りしねえのは、俺らしくないって俺が一番よく分かってる。

でも、なんか心にモヤっとくるものがあるんだ。




倉持「……沢村って吉川と若菜どっちが好きなんだよ。」


沢村「はっ！？////」


倉持「ヒャハハッ！
その反応じゃ、まだ決めきれてねえのかw」


沢村「ななななんのことでしょうか！？////」




すげえテンパってる沢村はいじり甲斐がある。

……でもまあ今回は勘弁してやる。




倉持「じゃあ、質問変える。
その二人のどっちかがお前の支えになってる時とかあんの？」




……ホントらしくねえ。

なに沢村相手に変なこと聞いてんだ。




沢村「…………そりゃありますよ。」


倉持「……」


沢村「若菜は俺が青道に入ってからもずっと応援してくれてる。

吉川は俺がミスした時は励ましてくれるし、良かった時はすげえ喜んでくれる。

……なんか、もっと頑張らねえとなってなります。」


倉持「へえ……。」




御幸の野郎もそんな感じなのか。

そういう風に、自分の支えになる奴がいるっていいな。

……なんて思ってしまう俺はホント、らしくねえ。




沢村「……はっ！！
まさか倉持先輩、恋煩いですか！？
だから自主練もできないと……！？」


倉持「ちげえよ二股野郎！！」


沢村「ぐはぁっ！！」




俺にもいつか……守ってやりたいとか、一緒にいたいとか思える奴ができんのかな。


……心から好きになれる奴ができんのかな。

第84話→←第82話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す