二人の距離 part2【御幸一也】

第81話 ページ32

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高島家


淕「で、なんで俺の部屋にいんの？」


「弟よ、今夜はお姉ちゃんと一緒に寝ようか。」


淕「は？キモいよ。」




冷めた目で私を見る淕。

自分でもキモいことくらいわかってる。

それでも今日は誰かと一緒に寝たいのです。




淕「母さん達の部屋行けば？」


「やだよ、あんなラブラブな空間。」


淕「ホラー映画でも観たの？」


「……違うけど。
まあ、夢に見そうなとこはホラー映画と同じ。」


淕「……なに言ってんの？」




今日御幸とした大人なキス。

死ぬほどドキドキして、頭が働かなくなって、立っていられなくなった。

今日の放課後練習は御幸ばかり目で追っていた。

あのキスからずっと、頭の中が御幸でいっぱいなんだ。




「夢であの出来事を見てしまったら私はもう女として終わりなの……！！」


淕「だからなに言ってんの……。」




こんな頭の中御幸だらけで寝たら絶対夢に見る。

そんな中学生男子みたいなの……恥ずかしいじゃん。




淕「マジで自分の部屋に戻って欲しいんだけど。」


「冷たくしないでよ、中学生男子。
少しは察しろ。」


淕「…………御幸さんか。」


「なんでわかったの！？」


淕「察しろって言ったじゃん。」




なぜこんなにもうちの弟は察しがいいのか。

でもまあ話が早い。




「男女とは大変ですね。」


淕「御幸さんとなにかあったんだ？」


「……」


淕「ここまできて隠されても。」


「いや、やっぱ中学生男子には刺激が強いかと。」


淕「全然平気。
同級生の恋バナならともかく、姉ちゃんだし。」


「…………そうですか。」




バカにされているのか信頼されているのか。

我が弟ながらよくわからない。




「御幸と少し関係が進んで頭の中御幸だらけでこのまま寝ると夢に見そうで恥ずかしいので一緒に楽しい話しながら寝ませんか淕くん。」


淕「ヤダ。そして長い。でもおめでとう。」


「ヤダって言われた。でもありがとう。
あと少し相談に乗ってください。」




正座して淕に頭を下げる。

こんな光景、普通のご家庭ではなかなかないでしょう。




淕「相談なんて今さらでしょ。で、なに？」


「あのですね…………やっぱり先を見据えて色々と覚悟しといた方がいいのでしょうか？」


淕「…………弟にする相談ではないね。」


「わ、わかってるよそんなこと！！////
でも唯達に言うのは恥ずかしかったんだもん(泣)」


淕「はいはい……。」




弟に呆れられるのは慣れています。

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