二人の距離 part2【御幸一也】

第62話 ページ13

【御幸side】


「黒と赤、どっちがいいかな。」

御幸「赤は？」

「淕っぽい？」

御幸「うん。」




帽子が見たいと思ってチェックしてた店に行くと、男物も女物もけっこう品揃えがいい。


野球チームの帽子は別として、淕が普通の帽子を持ってないらしく、高島は淕の土産に帽子を選んでる。




「じゃあこれにする！
手伝ってくれてありがとね、御幸。」

御幸「いいよ。
俺もユニバで淕に土産買ったから、高島から渡しといて。」

「うん！
御幸からのお土産なんて淕きっと感動するよ。」

御幸「なんじゃそりゃw」




淕の土産も決まったところで、俺も自分用に帽子を探してみる。




「御幸ってけっこう帽子かぶってるよね。」

御幸「まあな。なんか落ち着くんだよ。」

「変なの〜。
あ、ねえねえ！これは？」

御幸「ん？」




高島が指差したのは青いラインの入った黒いキャップ。




「御幸は大人っぽいから黒とか凄く似合うよ。」




そう言って帽子を手に取り、俺の頭にのせる。




「うん、やっぱり似合う。」




にっこりと嬉しそうに笑う高島。

素直っつーか……ホントこいつ可愛いな。




御幸「ははっ、マジで？」

「うん！！
あとこの青いラインがかっこいい。
青がどうしても青道って感じがして私がただ好きなだけなんだけどね。」

御幸「なんかそれわかるかもw
よし……これにしよ。」




高島に選んでもらった帽子。

……初デートはこれをかぶっていこう。

やべ、俺今すげえ浮かれてる。







.






「……そろそろホテルに戻らなきゃね。」

御幸「あ、もうそんな時間か。」




もうすぐ集合時間。

明日には日本へ帰る。

この後はホテルへ戻って晩飯の後にナイトサファリ(夜の動物園)へ行く。

高島と二人きりの自由行動はもう終わりだ。




「修学旅行楽しかったなぁ……。」

御幸「気がはえーなw
明日まで修学旅行は続くんだぞ？」

「明日の朝には空港じゃん。」

御幸「名残惜しい感じ？」

「ちょっとね。」




俺も。

部活でも教室でも高島に会えてるのに、今この二人きりの時間がずっと続けばいいと思ってる。

まだ、離れたくないと思ってる。




御幸「サンキュ、高島。
お前のおかげで修学旅行、すげー楽しかった。」

「私のほうこそ、ありがとう。
班行動で別々だけど、残りのナイトサファリも楽しも！」

御幸「そうだな。」






高島も修学旅行そのものだけじゃなくて、俺とのこの時間を名残惜しく思ってくれてたらいいな。

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