少年少女、恋物語°*18歳編*°Part５

第181話『あの声』 ページ15

〜貴方side〜


ここは…何処だろう……


真っ暗な暗闇を、なんの目的もなく、ただ歩いていた。


……………


ふと、遠くから聞こえてきた懐かしい“あの声”に足が止まる。


貴方「…お兄…ちゃん……」



『…A…久しぶり…だな』


お兄ちゃんだ……。


貴方「お兄ちゃん…？……どこにいるの…？…私、寂しかったよ……会いたいよっ…」


私はキョロキョロと見回すも、その姿はない。


『…ごめんな、でも……会うことはできない。』


でも、確実に声は近くなっていた。


貴方「…なんでっ…」


『…それは……言えない。でも、Aはもう、俺がいなくても平気だろ？』


お兄ちゃん…何言ってるの……？


貴方「私は………私にはっ…お兄ちゃんが必要なんだよ…また、前みたいに……一緒n」


『A……Aには、仲間がいるだろ？』


お兄ちゃんは、私の声を遮るように言った。


確かに私には、仲間がいる。


大切な、大切な仲間がいる。


貴方「でもっ…」


『A、もう……時間だ。』



さっきまでは近くで聞こえていた声も、徐々に遠ざかっていった。


貴方「じ、時間…？」


『あぁ………A、これだけは忘れるなよ？』




『…辛くなったら仲間を頼れ、悲しくなったら仲間を思い出せ…わかったな？』


貴方「…なん…でっ…？…お兄ちゃんは…？」


『思い出すのは、俺じゃない。仲間だ。』


お兄ちゃんのこと、忘れろってこと……？


貴方「そんなの無理だよっ…！…お兄ちゃんのこと……忘れるなんて……出来ないよ………」


『A…お兄ちゃんの最後のお願い…守ってくれるよな……？』


なんでそんなこと言うの……？


貴方「っ……」


『…ほら、もう時間だから……さよならだ。』


貴方「うぅっ……」


もう、どうすれば……


色んな感情が入り混じって、全てが涙に変わって溢れ出す。


貴方「…私をっ…置いていかないでっ…」


『…A、泣くなよ…Aはもう、一人じゃないんだから…』


貴方「…うぅ…ﾋｯｸ…うあぁっ…」


『じゃあな、A……』


そう言って、お兄ちゃんの声は消えた。


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