砂漠の国の大富豪 ページ9
言ってしまったものは取り消せない。
スカラビア寮生に続いて、鏡舎にある鏡を潜ると
そこは、冬にも関わらず夏のような気候の
宮殿のような寮が立つ、砂漠の国だった。
『ハーツラビュルやサバナクローと全然違う…建物の大きさも、何もかもが…』
ジャミル「さぁ、こっちだ。ついて来てくれ。」
辺りを見渡しながら、スカラビア寮の寮内へと足を踏み入れ
流れのまま、談話室に案内された。
しかも、入室する際に
歓迎の音楽、とやらを演奏された。
明らかに普通の学生が住む寮には思えない。
ジャミル「急に招待されて緊張するのもわかるが
料理が冷めてしまってはもったいない。
どんどん食べてくれ。」
グリム「いただきまーす!」
少しは疑うということを覚えろクソ猫、という言葉は何とか抑え込み
グリムが何の問題もなく料理を口にしたのを確認して
僕も一口、料理を口に含んだ。
スパイスが絶妙に利いていて、辛いが美味しい。
『美味しいですね。…ちょっと、げほっ…辛いですけど…』
ジャミル「慣れていない者には辛いかもしれないな。
なら、こっちの料理を食べてみると良い。
素材の甘さが多少はスパイスを___」
「お前たち、何を騒いでる。」
和気藹々とした談話室に響く、低い声。
部屋の入口に立つのは、その声を発したパールグレーの短髪の生徒だった。
あの人だ。確か、あの人がスカラビアの寮長。
でも、前食堂で会った時と雰囲気が違う。
ジャミル「カリム…」
カリム「どういうことだジャミル。
客を呼ぶなんて、俺は聞いてないぞ!」
ジャミル「カリム、これには訳が…」
カリム「客を呼ぶときは、必ず先に報告しろと言ったはずだ!
そうすれば…」
『あの、すみません。ご迷惑でしたら今すぐ…』
こちらが迷惑をかけている様子だったので
これを好機とし、この場から立ち去ろうと声を上げた。
が、それはすぐに無駄な行為となる。
カリム「もっとスゲーご馳走と音楽隊を用意できたのに〜!」
『え…』
カリム「よう、おふたりさん。よく来たな!
出迎えのパレードもなくて悪い!」
久しぶりに自分の常識を疑い掛けた。
そういう歓迎方法が普通なのか、と一瞬思ったが
絶対普通じゃない。
カリム「俺はスカラビアの寮長、カリム・アルアジームだ。
はじめまして、だよな?」
『い、いえ…一度お会いしたことがあります。』
カリム「あれ、そうだったっけか?
俺、あんまり人の顔覚えるの得意じゃねぇんだよなぁ。」
気の抜けるほど、温和な性格。
この人は、本当にこの学園の生徒なのか。
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ゆる(プロフ) - 続いてほしいです………!更新楽しみにしてます! (2022年9月24日 18時) (レス) @page47 id: 3e63e5a771 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 天才か???好きです。 (2022年4月4日 21時) (レス) @page47 id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 更新たのしみにしてますっ! (2021年9月10日 16時) (レス) id: 2f778f3504 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 惚れた、、、フロイドくんやっぱりすき、、、更新楽しみにしてます……! (2021年8月26日 0時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/
作成日時:2021年8月1日 22時