毒蛇からの招待状 ページ8
バイパー先輩の指示のもと、僕とグリムも
スカラビア寮生が作っていた料理を手伝った。
ラギー先輩やトレイ先輩も中々のものだったけど、何というか
バイパー先輩の料理は、酷く繊細だ。
スパイスを入れるタイミング。分量。温度。
その全てが料理を作り上げる一つ一つの重要なパーツになっている。
しかも教えるのも上手いのだから、何も言えない。
ジャミル「君は、あまり料理が得意じゃないのか？」
『他の家事は人並みにできるんですけど…
料理は、しなくてもどうにかなったので。』
ジャミル「まぁ、下手なわけではないし
練習すれば、いくらでも上手くなれると思うぞ。
よし、こんなものだな。お前たち、料理を寮へ！」
バイパー先輩の声がかかると、その場にいる寮生全員で
大量の料理を運んで、厨房を出ていった。
僕らや、オクタヴィネルのあの3人のように
家に帰れない事情があるものも、いないわけではないのだろうけど
だとしても、あの量は多すぎると思う。
『あの、バイパー先輩。』
ジャミル「ジャミルで構わない。何だ？」
『えっと、じゃあジャミル先輩。
先輩たちこそ、どうしてホリデー期間なのに学園に残っているんですか。』
ジャミル「……それは。」
「……」
ジャミル「それについては、話すと長くなる。」
『そうですか…なら、別にいいのですが。』
「…スカラビアは全員、寮長の命令で……」
「帰りたくても帰れないというか……」
口をつぐんでいたスカラビア寮生が放った、小さな一言。
スカラビアの寮長。記憶が確かなら、あの人当たりのよさそうな…
パールグレーの髪の人だったはずだ。
あの人が、寮生に命令して…ねぇ。
ジャミル「しっ。やめないか、お前たち。
元はといえば、俺達の責任だろう。
さ、料理が冷めてしまう。早くスカラビアへ向かおう。」
ここまで手伝っておいてあれだが、こんなに警告されれば嫌でも察しが付く。
絶対、面倒な事になる。
ホリデーくらいは平穏に暮らしたいものだ。
ここらへんで適当に切り上げよう。
グリム「A、俺様達も早く行くんだゾ！」
『ちょ、一寸待って…あの、ジャミル先輩…僕……』
ジャミル「君たちが来てくれたら、寮長も喜ぶだろう。
"来てくれるな"？」
『＿＿もちろんです。』
気づいた時にはもう遅い。
僕の口からは、確かに了承の言葉が出てしまっていた。
言うつもりは、なかったのに。
ジャミル「君を招待できてとても嬉しいよ。A。
さぁ、行こう。スカラビアへ。」
一体、この蛇は何を隠しているんだ。
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ゆる(プロフ) - 続いてほしいです………！更新楽しみにしてます！ (2022年9月24日 18時) (
レス) @page47 id: 3e63e5a771 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 天才か？？？好きです。 (2022年4月4日 21時) (レス) @page47 id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 更新たのしみにしてますっ！ (2021年9月10日 16時) (レス) id: 2f778f3504 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 惚れた、、、フロイドくんやっぱりすき、、、更新楽しみにしてます……！ (2021年8月26日 0時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天空の巫女 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/
作成日時：2021年8月1日 22時
