雪降る朝の寮生たち ページ6
ツノ太郎に貰ったネックレスを首に下げて
いつもは閉めないパーカーの前を閉め
ふぅーっと、空に向けて息を吐く。
白く染まったその息が、気温の低さを物語っている。
ホリデー一日目。
雪の降る朝に、僕とグリムはオンボロ寮を出て
大食堂に向かっていた。
グリム「さぁむいんだゾ…!」
『僕たちが行かないと、外以外も極寒地帯になっちゃうんだから
文句言わないの。』
グリム「い、いいから早く大食堂に行くんだゾ…うぅ…」
『はいはい。じゃあ、行こうか。』
少しでも暖を取ろうとグリムを少し強く抱きしめながら
大食堂までの道を歩く。
グレート・セブンの像にも雪が積もっていて
焦がされたり雪に降られたり
石像も楽ではないな、なんて
馬鹿なことを考えているうちに、大食堂の中に辿り着いた。
グリム「ひぇ〜寒かった!肉球が氷みてぇに冷てぇんだゾ!」
『早く薪を暖炉に入れよう。僕もそろそろ限界…』
学園長から預かっていた乾燥した薪を
大食堂の中に在る大きな暖炉に入れると
小さな光と共に、パチパチと火花が弾ける音がして
赤い羽根を持つ、火の妖精が現れた。
『初めまして。今日も暖炉をよろしくね。』
「__ッ…!?」
言葉が通じているのかは定かではないが
火の妖精が、一瞬怯えた顔をした。
もしや、言葉を違う意味に捉えられたのか。
その割には、妖精の視線は僕ではなく
僕の首から下げているネックレスに向いていた。
『ツノ太郎…?』
グリム「どうかしたのか?」
『あぁ、うん。なんでもない。多分気のせいだから。』
関係があったとしても、今度会った時に聞けばいい。
特に妖精に対し言及することもなく
もう用も済んだということで、大食堂を後にしようとしたその時。
大食堂の奥の厨房から、規則正しく包丁を動かすような音と
何かを焼いているような音が聞こえてきた。
『何、この音…それに、この匂いは…』
グリム「スパイシーでいて、食欲を刺激する異国の香りなんだゾ!
行ってみようぜ、A!」
どうせ止めても無駄だろう。
ほぼ諦めの面持ちで、音の正体を探るべく
匂いの元である厨房に向かうと
同じような服を着た数名の生徒が
一人の生徒の指示のもと、大量の料理を作っていた。
「野菜に火を通し終わったら、解凍してあった肉を茹でてくれ。
それから__」
「はい!」
「副寮長、スパイスの量は__」
指示を出している、褐色の肌に特徴的な髪型の黒髪の男性。
確か…どこかで見たような気がする。
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ゆる(プロフ) - 続いてほしいです………!更新楽しみにしてます! (2022年9月24日 18時) (レス) @page47 id: 3e63e5a771 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 天才か???好きです。 (2022年4月4日 21時) (レス) @page47 id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 更新たのしみにしてますっ! (2021年9月10日 16時) (レス) id: 2f778f3504 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 惚れた、、、フロイドくんやっぱりすき、、、更新楽しみにしてます……! (2021年8月26日 0時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/
作成日時:2021年8月1日 22時