心の弱い子供 ページ33
Azul side
彼女たちを追っていたであろう寮生が立ち去っても
Aさんの震えが止まることはなかった。
あれだけ勇敢に僕に勝負を挑んだ彼女が
一体、何に怯えているのか。
僕にも、もちろん双子にも見当がつかなかった。
『…あの、壊した備品…とか
今の戦いで傷ついた机とかは…今すぐには無理だけど
無賃労働でもなんでもして…修理費は出します……』
アズール「えぇ…貴方ほどの能力を持つ人がそうしてくれるのなら
こちらとしても助かりますが…」
『…他にも、対価は何でも払うし…
イソギンチャクになって、も…いいから…』
アズール「Aさん…一度落ち着いて…」
『だから、グリムだけでも…ここで守ってあげてください…』
僕のすべてを壊してまで、イソギンチャクを開放した彼女が
今度は自らその立場になってまで、グリムさんを守ろうとしている。
これが、ジェイドの言っていた"自分の存在しない人間"。
一体、スカラビアで何があったんだ。
フロイド「ねぇねぇ小エビちゃん。」
『…何ですか。』
フロイド「確かに小エビちゃんがあのイソギンチャクみたいになったら面白いけど〜
今の小エビちゃん、マジフト大会前に会った時みたいな顔してるよぉ？」
『…あの時が普通だったんです。
…我儘が過ぎた。僕の意思なんか、出すべきじゃなかったのに…
調子に乗るから、こんな…』
フロイド「ふーん…」
赤く淀んだ瞳に、静かに闇を灯らせる彼女の小さな体を
フロイドが、いとも容易く持ち上げたかと思うと
そのまま近くの椅子に座り
自身の腕の中に収めるように、彼女も座らせて
後ろから抱きしめた。
『何するんですか…』
フロイド「ん〜？なんでかわかんねぇけど
小エビちゃんが暗い顔してっと詰まんないんだよねぇ。
俺、小エビちゃんの事なぁんも知らないけどさぁ
こうやって、フロイド先輩がぎゅ〜ってしてあげるから
そんな暗い顔しないで、カニちゃんたちといる時みたいに笑って。ね。」
『……』
フロイド「よしよし。大丈夫だよ〜」
正直、怖いくらいに様子がおかしい。
スカラビアで何かがあったことに加え、エースくんたちの不在。
僕でもわかる。
彼女の心が今、死にかけている。
アズール「僕にあんな風に語り掛けて笑った貴方が、そんな顔をするなんて。
本当に、予想のつかない人だな。」
僕に前を向けというなら、僕だってあなたに前を向かせる。
フロイドみたいにはできないけど、僕なりに。
アズール「僕に恩を売っておいて、放っておかれると思うなよ。」
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ゆる(プロフ) - 続いてほしいです………！更新楽しみにしてます！ (2022年9月24日 18時) (
レス) @page47 id: 3e63e5a771 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 天才か？？？好きです。 (2022年4月4日 21時) (レス) @page47 id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 更新たのしみにしてますっ！ (2021年9月10日 16時) (レス) id: 2f778f3504 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 惚れた、、、フロイドくんやっぱりすき、、、更新楽しみにしてます……！ (2021年8月26日 0時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天空の巫女 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/
作成日時：2021年8月1日 22時
