拭えない不穏 ページ29
鎮まることも知らぬほどの暴動が
談話室で行われているとき
談話室の入口に、何者かの影が差した。
カリム「お前たち、こんな時間に集まって何をしている。」
「りょ、寮長…!?」
グリム「げげっ…見つかっちまった!?」
カリム「どうやらお前たちには昼間の訓練では物足りなかったようなだな。
ジャミル、今すぐ寮生を庭へ出せ。」
ジャミル「庭へ…?」
カリム「限界まで魔法の特訓をする。」
「そんな無茶苦茶な…」
「か、監督生…どうにかならないか…!?」
『お前も大概無茶言うな…どうにかって言っても…』
無茶振りをしてくる寮生から目を離し
カリム先輩の瞳を見つめる。
やはり、あの時の違和感を解明することが
事件解決のカギになる気がする。
だとしたら、今はカリム先輩に寝られるわけにはいかない。
『…少しだけならカリム先輩の体力を減らすから、彼が寝るまで耐えて。』
無論、カリム先輩に僕の魔法を使うための口実。
ツノ太郎に貰ったネックレスのお蔭で
ブロットを奪わない魔法なら、これまでのようなことも起きない。
意を決し、マジカルペンを構えると
その手をジャミル先輩に抑えられた。
『な…』
ジャミル「すまない。
しかし、この子はユニーク魔法を連発すると
この子自身の体を蝕むと聞いている。
協力させているのは俺達なんだ。
昼間も助けてもらっただろう。
あまり無理をさせるな。」
「そうなのか…!?
ごめん、監督生…俺、知らなくて…」
『…いや、この程度なら…』
ジャミル「君はもう少し自分を大事にしろ。
俺達のためにそこまでしてくれるのはありがたいが…」
カリム「おい、お前…まだユニーク魔法を使う余裕があるんだな。」
いつの間にか、僕とジャミル先輩の前に立っていたカリム先輩。
冷たい。声も、瞳も、この人から向けられる感情も。
全く思いを感じない。
あの人と、全く同じ…やめろ、考えたくないのに…
『…か、りむ…先輩…』
カリム「なら、お前は他の寮生の倍の特訓をしてもらう!
ジャミル、さっさとこいつも庭に連れ出せ!!」
ジャミル「そんなことをしたらAが死んでしまうぞ…!?」
カリム「うるさい!いいから、さっさと特訓を始めるぞ!!」
『…ッ…あ、あぁ……』
僕の意思なんか、関係ない。
あの人の眼にも、カリム先輩の眼にもそんなもの写らない。
あんなに、優しい言葉をかけて…
手を、握っていてくれたのに。
『…全部、嘘だったんだ。』
もう、どうでもいいや。
283人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆる(プロフ) - 続いてほしいです………!更新楽しみにしてます! (2022年9月24日 18時) (レス) @page47 id: 3e63e5a771 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 天才か???好きです。 (2022年4月4日 21時) (レス) @page47 id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 更新たのしみにしてますっ! (2021年9月10日 16時) (レス) id: 2f778f3504 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 惚れた、、、フロイドくんやっぱりすき、、、更新楽しみにしてます……! (2021年8月26日 0時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/
作成日時:2021年8月1日 22時