毒蛇の証言 ページ26
カリム先輩ほど使い慣れているわけじゃないから
昨日程の量の水は出せなかったけど
それでも、涼むことができたようで
帰りの道では、そこまで不満の声は出なかった。
「ありがとな監督生…お前のお蔭でどうにかなったよ…」
『また出た監督生…なった覚えないんですけど…
まぁ、助けになったのなら何よりです。』
ジャミル「君がいてくれて助かったよ、A。
やはり、君に協力を仰いでよかった。」
本心、で言っていると思いたいところだけど
やはり本気で信じることができない。
いや、この状況でジャミル先輩が
嘘を吐く理由もないのだけれど。
『ジャミル先輩。
今のまま、カリム先輩に従ったままで良いんですか。』
ジャミル「……俺は、アイツに従い続けるしかない。」
『それは、彼がアジーム家の次期当主で
貴方が、彼の従者だからですか。』
ジャミル「………それも、理由の一つではある。
今夜、少し話をしよう。
カリムには気づかれないように俺が手を打っておく。
時間をくれないか。」
彼だって、間違ったことをしているのは分かっているはずなんだ。
だけど、止めない。止められない。
トレイ先輩とリドル先輩の前の状況に似ているようで
規模も状況も全く異なる。
とりあえず、聞いてみるだけ聞いてみるか。
あの瞳の違和感については、追々考えよう。
__________
そしてその日の夜。
ジャミル先輩の言う通り
カリム先輩以外の全員が、談話室に集められた。
ジャミル「…みんな、集まってるか?」
「はい。カリム寮長は…?」
ジャミル「寝たよ。いつもより深く眠っているだろうから
そう簡単には起きないさ。」
『それで、話って何なんですか。』
グリムがもう眠る寸前だ。
話を聞きたいのは山々だけど、流石に寝られると脱走計画が進まない。
眠たいという考えは他の寮生も同じようで
それを察したジャミル先輩が、すぐに話を始めた。
ジャミル「お前たちがカリムのやり方に不満があるのは分かってる。
冬休みにこの扱い…不満を持たないやつはいないだろう。
俺も、これが正しいとは思っていない。」
「じゃあ何故止めないんです!?」
ジャミル「止めたさ、何度も。
聞く耳を持ってもらえなかったけどな。」
無論、僕だってカリム先輩のやり方が正しいとは思えない。
でも、この状況にも不満がないわけじゃない。
だから、ここ最近の寮生の態度を見て思ったことを言わせてもらう。
『…そんなに嫌なら、お前らがカリム先輩に抵抗しろよ。』
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ゆる(プロフ) - 続いてほしいです………!更新楽しみにしてます! (2022年9月24日 18時) (レス) @page47 id: 3e63e5a771 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 天才か???好きです。 (2022年4月4日 21時) (レス) @page47 id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 更新たのしみにしてますっ! (2021年9月10日 16時) (レス) id: 2f778f3504 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 惚れた、、、フロイドくんやっぱりすき、、、更新楽しみにしてます……! (2021年8月26日 0時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/
作成日時:2021年8月1日 22時