蘇る悪夢 ページ19
一先ず寮の建物から出て、鏡に向かおう。
その一心で駆けだした瞬間。
背後から、笛のような音が聞こえた。
『な、何…』
「お前たち！勝手に寮外へ出ようとするとは何事だ！」
「この冬休みの間は、誰であろうと
寮長の許し無しに寮を出ることは許されない！」
「ひっとらえろ！」
『……』
嫌だ、本当に嫌になる。
そんな些細な言葉でさえ、あの人を思い出すきっかけになる。
そういえば、何回かあったな。
練習部屋から、何時間も出してもらえなくて
休むことも許されずに、練習してた日。
グリム「A！何ぼさっとしてるんだゾ！？
早く逃げろ！」
『ッえ…』
前方からも後方からも、必死の形相のスカラビア寮生が迫ってきていた。
まずい。逃げないと、いけないのは分かってるのに。
足が、動かない。
脳が、逃げるなと命令を出している。
長年の習慣って、恐ろしい。
『…ッ…無理、グリム…だけでも…』
グリム「A……しっかりするんだゾ！」
瞬く間に寮生に捕まり
僕たちは、すぐに先ほどの空き部屋に戻された。
あれくらい、撒くのはわけなかったはずなのに。
今の僕じゃ、グリムを守れない。
どこにも、逃げられない。
グリム「うぅ…アイツら…思いっきり首根っこ掴んで引きずりやがって
明らかに客人に対する態度じゃないんだゾ！」
もう逃げださないように、部屋に鍵までかけられた。
あの部屋も、そうだったけな。
内側から開けられない鍵ってどういうことだよって
今なら笑えるかもしれないけど
あの時は、僕の力じゃどうにもできなくて…
グリム「こうなったら俺様たちの魔法でこの寮ごと…」
『……』
グリム「A…なぁ、今日のお前おかしいんだゾ…？」
『…やだ……もう、いやだ。』
折角、そんな地獄から抜け出して
居場所だって手に入れて、大切な友達もできて
楽しいって、思ってたのに
何で、何でこうなったんだ。
もうやだ。こんなの、もう嫌だ。
『何で…なんで僕ばっかり…こんな…ッ…
何で誰も僕を赦してくれないの…！』
グリム「おい！しっかりしろ！A！」
声が震える。まともに立ってもいられない。
思わず床に蹲った僕に、寄り添ってくれるグリムを
抱きしめることだってできない。
怖い、怖い。もう、何も見たくない。
『何で…なんでなんで…ッ…なんでだよ…！！』
僕が何をしたって言うんだ。
世界がこんなに僕を嫌うのなら
いっそのこと、跡形もなく消し去ってくれればいいのに。
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ゆる(プロフ) - 続いてほしいです………！更新楽しみにしてます！ (2022年9月24日 18時) (
レス) @page47 id: 3e63e5a771 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 天才か？？？好きです。 (2022年4月4日 21時) (レス) @page47 id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 更新たのしみにしてますっ！ (2021年9月10日 16時) (レス) id: 2f778f3504 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 惚れた、、、フロイドくんやっぱりすき、、、更新楽しみにしてます……！ (2021年8月26日 0時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天空の巫女 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/
作成日時：2021年8月1日 22時
