《 2 》 ページ29
.
4年生という事は就活もしなくちゃいけないし、単位も取らなきゃだし、卒論も書かなきゃいけない。
暇だとは言えないこの時期にこんな居候なんて…
私が千尋の立場なら、絶対人なんて家に上げないし生活なんてさせない。
「……なんで?」
「いや、だって…アンタ今、忙しいんじゃないの?就活とかもあるだろうし。」
「……」
「……って、これも今更なんだけどさ。」
一口、コーヒーを口に含むとふと私を視界に入れた。
「…別に迷惑じゃない。」
「まじ?」
「内定だって既に取ってる。」
「…おお。」
流石、有名大学に入っただけはあるな。
私とは頭の造りが違うってか。
「…が、そうだな。
お前に話さなきゃいけない事があった。」
「…話さなきゃいけない事?」
「そう」
次に、ミルクティーを口に含み相手を見たのは私だった。
「……赤司が、あの女と切ったらしい。」
「………え?」
「お前を迎えに行きたいと言っていた」
「……」
……征十郎、が…和奏さんと、縁を切った?
私を迎えに来るの?
「…それ、いつ言われたの?」
「水族館に行った日の前日」
「4日も前じゃん!
そ…そういうのってさもっと…「もっと早く、言ってほしかったか?」
「……」
千尋は既にコーヒーを飲み終えたのか、近くに置かれた資料に目をやっている。
…なんで、
「で?」
「……え?」
「いつ、出てくんだ?」
……なんで、こっち見てくんないの。
足の上に置かれた手が、無意識の内に震えているのが分かる。
そんな、まるで…『早く出て行け』って遠回し言ってるみたいな言い方しなくていいじゃん。
私が言葉に詰まっても、こっちになんて見向きもしない。
興味も示さない。
「……明後日」
「……」
「明日荷物まとめて、明後日出て行く。」
そう言い切って思った。
私、千尋と
「…そう。」
『 離れたくない 』んだって。
それからは早かった。
千尋に「おやすみ」と言い、寝室へと戻った。
布団へ潜り込むと、堰を切った様に、涙が溢れ、こぼれ落ちていく。
…心のどこかで、引き留められると思った。
ずっとここにいてもいいと、言ってくれると思った。
これから先も、何かあれば助けてくれる気がしてた。
千尋はああいう人だけど、その時になれば本当に頼りになる人だから、優しい人だから。
…だからこそ思う。
千尋と長く居過ぎてしまった、と。
.
167人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「黒子のバスケ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美樹菜(プロフ) - 赤司くんと黛先輩が好きなので、こういう小説見れて嬉しいです。これからも頑張ってください。 (2019年1月2日 23時) (レス) id: a4e34be67d (このIDを非表示/違反報告)
黒路 - 結局最後まで自分に甘いだけですね夢主ちゃん。現実にいたら恋愛でも結婚でも長続きしませんね。 (2018年9月18日 7時) (レス) id: fa1a11a816 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - かふぇらぺさん» ありがとうございます!夏休み終わってしまいました...全然更新出来ず申し訳ないです...。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - ぴこさん» いつも感想ありがとうございます!!長い間更新出来ずにすみませんでした。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - 黒路さん» 黒路さん、初めまして!読んでもらえて嬉しいです。そうはっきり言ってもらえるのとってもタメになります!あがとうございます!! (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:羅夢 | 作成日時:2017年11月5日 14時