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Episode.31 ページ8

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何とかそれを抑え込み、言葉を紡ぐ。



「・・・ありがとう、嬉しい。」

「・・・いや、礼を言わなければいけないのは
俺の方だ。

A、ありがとう。」

「え?」



なんで私・・・お礼、言われたんだろう。



それを聞きたくて声を出そうとしたら


遠くで彼を呼ぶ声が聞こえた。



「大丈夫です、今行きます。

・・・悪いが、A。一旦切るよ。
細かい事は後で青峰に連絡入れるから見ておいてくれるか?」

「分かった!急にごめんね。
後で大輝に聞いとく」

「いいんだ、久々にお前の声が聞けて良かった」



ドクンッ


ほら、こうやって私は彼の優しさに、簡単にハマってしまう。




じゃあまた。その言葉を最後に、電話が切れた。



携帯を耳から離し、持ち主に返すとそれを受け取った大輝の顔はニヤリとしている。



「・・・何よ。」

「良かったじゃねぇか。
赤司、良いっつってたんだろ?」

「うん、言ってくれたよ」

「A〜!!良かったねぇ!!!」



そう言い、和奏はソファーの上から私を包み込んだ。


何だかホッとして涙が滲み出るのが分かったが、笑顔で必死に誤魔化した。



「・・・はあ、最初っから赤司に頼めば良かったのによ、何でこうも遠回りするんだおめぇわ」

「だ、だって・・・あんな事があったのよ?
無理だって思う方が普通でしょ。」

「・・・いや、だから。

お前の頼みだったら、赤司が断る訳ねぇだろって」

「何でそう言い切れるのよ」

「そ、それはおめぇ・・・あれだ、あれ。」

「だから何」



吃っている大輝に少し疑問を抱き、問いただしていたら和奏がまあまあ、と言いながら抱きしめた私の身体を左右に揺らし始めた。



「何はともあれ!
とりあえず問題解決!って事でさ
ここは、ぱあっといきますか!!」

「は、和奏、おまっ・・・おい!」



そう言い、キッチンへ消えていった和奏の背中を
おいおい、まじかよ。と大きくため息をつく大輝を見て、笑いが込み上げる。


すぐに戻ってきた和奏の腕にはビールが数本あり、それを机へドサッと置いた。



「お前、これ・・・」

「そうよ!ある分だけ持ってきた!」

「・・・全部?」

「オフコース!!!」

「・・・俺のストックが・・・」



そう机に雪崩込む大輝を他所に、新しい缶ビールのプルタブに指を引っ掛け開ける。

飲み口に口を当て喉に流し込もうとした時、机に置いてあった大輝の携帯が小刻みに震えた。



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羅夢(プロフ) - yukakdonaldさん» そう言ってもらえると本当に嬉しくて心の支えになります^ ^ありがとうございます。 (2017年11月6日 20時) (レス) id: da06b6f43d (このIDを非表示/違反報告)
yukakdonald(プロフ) - 続きがすごい気になります!更新待ってます! (2017年11月5日 13時) (レス) id: 9b227061d2 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - KANAさん» 嬉しいです!!!本当に力になりますありがとうございます(^^) (2017年8月17日 16時) (レス) id: da06b6f43d (このIDを非表示/違反報告)
KANA - この作品 スゴく面白いです!これからも読ませていただきます!更新頑張ってください!! (2017年8月10日 18時) (レス) id: 3e35f2b141 (このIDを非表示/違反報告)
*。赤司 妃奈 。* - コメント読みました!私は、これからも、この作品を読むので続き頑張ってください!!応援してます^^ (2017年7月27日 14時) (レス) id: 97081c23e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:羅夢 | 作成日時:2017年6月5日 22時

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