Episode.58 ページ35
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それから私達の間に、静寂が広がった。
葉山先輩は言葉を発する事もなく、両手を後ろについてぼーっと天井を見つめるだけで。
そして私も自分の掌に力を入れ、それを見つめるだけだった。
本当は、もっと話さなきゃいけない事があるはずで。
…聞きたい事もいっぱいあった。
学校の先生になる事は、何となく聞いていたけど最近何があったのだとか。
他の先輩方は、今何をしているのか、とか。
沢山あった、はずなのに…
今はどれ一つと、聞く気にはなれなくて。
ただ頭にあるのは、赤司くんだけだった。
私…なんで話し合おうとしないんだろう。
赤司くんの家へ泊まる前は、確かに昔の話をする気はあった。
だけど何で?なんで今はそれが出来ないの?
彼がその話をしないから?
時間が経ちすぎたから?
彼の優しさに甘えてしまっているから?
…分かんない。
独りで悩みこんでいたその時、
「…あ、レオ姉だ。」
静かな空間に響いたのは、葉山先輩のスマートフォンの着信音だった。
「出てもいい?」と聞かれ、私は慌てて「大丈夫です!」と答えれば先輩は笑って感謝の言葉を口にする。
…レオ先輩、かあ。
レオ先輩にも全く会えずじまいだ。
高校時代、姉の様に親しくしていたからその名前を聞いただけでとても懐かしくなってくる。
…会いたいなあ。
「ん?え、…いいじゃん!それ!!!
今さ、ちょうど懐かしい子といるんだけどさ!
その子も連れていっていい??!」
…え?
〈誰の事を言ってるの?私の知ってる人よね?〉
「もっっちろん!レオ姉の大好きな子だよん!!」
〈はあ?〉
「楽しみに待っててよ!!
時間は追って連絡するから!約束だかんな!!」
〈…分かったわ、早めに連絡ちょーだいね。〉
通話を切れば、さっきまでの静けさはどこへ行ったのか目の前の先輩は目をキラキラしながら私の手をギュッと握ってきた。
「Aちゃん!今日このあと空いてる?
空いてるよね?!!」
「えっあ…仕事終わってからなら空いてますけど…」
「レオ姉が久々に呑みにでも行こうってさ!
Aちゃんも来ない?!」
「へ?」
レオ先輩と呑みに?
それって…先輩に会えるって事だよね?
「行きたい…行きたいです!」
「んじゃ決ーまり!」
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羅夢(プロフ) - yukakdonaldさん» そう言ってもらえると本当に嬉しくて心の支えになります^ ^ありがとうございます。 (2017年11月6日 20時) (レス) id: da06b6f43d (このIDを非表示/違反報告)
yukakdonald(プロフ) - 続きがすごい気になります!更新待ってます! (2017年11月5日 13時) (レス) id: 9b227061d2 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - KANAさん» 嬉しいです!!!本当に力になりますありがとうございます(^^) (2017年8月17日 16時) (レス) id: da06b6f43d (このIDを非表示/違反報告)
KANA - この作品 スゴく面白いです!これからも読ませていただきます!更新頑張ってください!! (2017年8月10日 18時) (レス) id: 3e35f2b141 (このIDを非表示/違反報告)
*。赤司 妃奈 。* - コメント読みました!私は、これからも、この作品を読むので続き頑張ってください!!応援してます^^ (2017年7月27日 14時) (レス) id: 97081c23e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羅夢 | 作成日時:2017年6月5日 22時