Episode.57 ページ34
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もう一度彼の方へ目を向ければ、顔を歪めながらも小さく笑っていた。
「赤司ってさ、去る者は追わないって人じゃん?
実際高校ん時も、キャプテンとして退部届を受け取るのも少なくなかったんだ。
辞めていく選手に何を言うとか無くて、ただ「そうか。」の一言だったんだよね。」
「……」
「…だけど、Aちゃんは、…Aちゃんだけは別なんだろうなー。」
「え?」
そう声を出せば、葉山先輩は「そうだよ?」なんて言いながらニカッとその八重歯を見せた。
「Aちゃんといる時の赤司、本当に幸せそうでさ…あんな顔初めて見た。
本当に心から大切に思ってなきゃ、あんな顔出来ないよね?」
「…っ」
あんな、顔…
…私の記憶に残ってる彼は、いつも笑っていた。
優しい瞳で私を見下ろし、優しい手つきで頭を撫でてくれる。
その表情は、私本人でも分かるくらい” 愛しい ”という気持ちが篭っていて…
…だからこそ、あの日私を引き止める彼の歪んだ顔は私の胸を余計に苦しめたんだ。
私が別れを告げた、あの日と同じ顔だったから。
「だからこそ、俺達は後悔してるんだ。
どう考えたって悪いのは俺達なのに、赤司は文句一つ言ってこなくて、「大丈夫だ、お前達の
「……」
「まあ、今も後悔したってしょうがないんだけどね?」
「…そう、ですか。」
「……うん、そうだよ。」
いつの間にか私は彼の顔から、自分の組んだ掌をただただ見つめていた。
胸が痛くて、俯く事しか出来なくて。
誰が悪いとかじゃない。
ただ、葉山先輩達から聞かされる方が早かっただけで…
赤司くんだって、言いたくても言えずじまいだっただけで…
結局、誰が悪いって…私に決まってるじゃない。
私自身が、自分でやらかしたんだから…誰も思い詰める事ない。
ただ、みんな優しいから…優しすぎるから。
” 自分が悪い”からって、今でも後悔してくれてる。
もう…自分が情けない。
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羅夢(プロフ) - yukakdonaldさん» そう言ってもらえると本当に嬉しくて心の支えになります^ ^ありがとうございます。 (2017年11月6日 20時) (レス) id: da06b6f43d (このIDを非表示/違反報告)
yukakdonald(プロフ) - 続きがすごい気になります!更新待ってます! (2017年11月5日 13時) (レス) id: 9b227061d2 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - KANAさん» 嬉しいです!!!本当に力になりますありがとうございます(^^) (2017年8月17日 16時) (レス) id: da06b6f43d (このIDを非表示/違反報告)
KANA - この作品 スゴく面白いです!これからも読ませていただきます!更新頑張ってください!! (2017年8月10日 18時) (レス) id: 3e35f2b141 (このIDを非表示/違反報告)
*。赤司 妃奈 。* - コメント読みました!私は、これからも、この作品を読むので続き頑張ってください!!応援してます^^ (2017年7月27日 14時) (レス) id: 97081c23e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羅夢 | 作成日時:2017年6月5日 22時