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Episode.38 ページ15

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よく見たら、あ、フランス語。


端の記事に小さく「Bonjour」と書き出しが書かれていたのを私の目は見逃さない。



…は?フランス語?!!!!



ここ日本でしょ、何処から取り寄せるのさ


っていうか別に読まなくも良くない?



ここ日本でしょ?(Aさん、2回目です。)



「何か飲む?」と、私の目を見ながら呟く彼の声に我に返った。

慌てて「大丈夫!」と否定しても



「遠慮は無用」



そうキッパリと言われちゃあ、返す言葉がない。



「じゃあ、貰う」

「うん、そうして」



嬉しそうにニコッと口角を上げて笑いながら私の横を通り過ぎて行く。





…あれ?




「コーヒーか紅茶、どっちにする?

あ、ハーブティーもあるよ。」

「…じゃあ、紅茶で。」

「了解。」



キッチンへ向かった彼は、湯を沸かし慣れた手つきでお茶の準備を始めている。


その姿に、私は問いかけた。



「赤司くん、今日どっか行ってた?」



「…なんで?」と言いながらティーポットに湯を注ぐ。



「さっき、お酒の香りがしたから。」

「え、うそ」

「あ、えと、少しだけね?ほのかに香っただけで」

「……」



自分の服の袖をクンクンと嗅ぐ彼。

でも匂わなかったのか、眉間に皺を寄せて私を見た。


その薄く形のいい唇がゆっくりと開いていく。



「…Aって、下戸?」

「え?」

「そう?」



どうした、急に。



「あ、いや…下戸っていうより」

「……」

「むしろ、…酒豪?」

「え、」



意表を突かれた様な顔をした赤司くん。


…私、何か変な事言ったかな?


なんて思っていたら、突然キッチンの方から「はははっ」と笑う声が聞こえた。



「匂いに気づく位だから、酒嫌いなんじゃないか、と思ったんだが…なに、愛酒家?」

「……そうですけど」

「あー。で、今は断酒って訳だ?」

「…なんで?」

「あの合コンの日、只管ウーロン茶飲んでたのは何処の誰だっけ?」

「……」



返す言葉が無くて、口を閉じながら目を泳がせる。


彼は「沈黙は肯定だ。」とまだ笑っていた。



断酒と言いながら、飲みまくってますけど?



それに気づかれない様にキッと睨んでやると、こっちへ向かってきた彼に思わず目線を外す。



その手にはティーカップが2つあり、テーブルにそれを置くとカチャンッと居心地のよい音が響いた。



「今日、バイトだったから」

「……はい?」



ソファーに座りカップを手に取った後、そう言った彼の言葉に耳を疑った。

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羅夢(プロフ) - yukakdonaldさん» そう言ってもらえると本当に嬉しくて心の支えになります^ ^ありがとうございます。 (2017年11月6日 20時) (レス) id: da06b6f43d (このIDを非表示/違反報告)
yukakdonald(プロフ) - 続きがすごい気になります!更新待ってます! (2017年11月5日 13時) (レス) id: 9b227061d2 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - KANAさん» 嬉しいです!!!本当に力になりますありがとうございます(^^) (2017年8月17日 16時) (レス) id: da06b6f43d (このIDを非表示/違反報告)
KANA - この作品 スゴく面白いです!これからも読ませていただきます!更新頑張ってください!! (2017年8月10日 18時) (レス) id: 3e35f2b141 (このIDを非表示/違反報告)
*。赤司 妃奈 。* - コメント読みました!私は、これからも、この作品を読むので続き頑張ってください!!応援してます^^ (2017年7月27日 14時) (レス) id: 97081c23e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:羅夢 | 作成日時:2017年6月5日 22時

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