031..貴方の言葉は、時に刃物のように鋭い。/まふside ページ32
「どういうことまふ。説明してくれない?」
しばらく白けた空気を続けた後、それを破ったのはそらるさんの言葉だった。
さっきまでふざけていたのに、今は違うことがわかる。
全てが違う。
声も表情も視線も、そして言葉の選び方も、すべて。
全てがナイフのように、俺に突き刺さってくる。
言葉では説明できないような気鋭とか貫禄が、途端にそらるさんの周りを包んだように思える。
「できれば、君があの子をどう思っているか。
それをしゃむがどう思ってるか。君自身どういうつもりで人前でそういうことをしたのか。
――――詳しく、答えて。」
拒否権はないけど、受け入れれば何を言えばよいのか?
今までの余裕が、すべてなくなっていく。
勢いだよ、正直言えば。
『遅ければ、取られて終了。』
その思考を証明するように気が焦って―――
――――
――――・・違う。
ただ、『諦めてほしかった。』
そして、『証明したかった。』
・
【Aは、俺のモノだ】
・
そして彼女には、
・
【愛してる。だから、俺のモノになって】
・
強引な、――・・あんなこと・・・。
「そらるさん、こういうの「今喋るべきなの灯油さんじゃないよ。――・・ほら、早く。」
灯油さんのとりなしを瞬時に遮る。
怒ってるレベルじゃなくて、
蔑むような視線と口調。
「――・・どっちの・・彼女でもない。
しゃむのでも・・俺のでもないよ。」
「――・・
―――――・・『悔しかった』だけで、あんなことすんなよ。
本当は全部わかってるくせに。」
はぁ、と溜息をついた、そらるさんの下半身のあたりから、電子的なメロディーが聞こえた。
とっさにその音の源・携帯電話をジーンズから出すと、
打って変わったいつもの声で話し始めた。
「もしもし・・ぁ、スズム?・・ごめんごめん、さっきから言われてたんだよ。
うん、そっち行くから。――おぉ。うん、・・」
携帯を耳に押し付けたまま、ドアに向かって歩き、ドアを開け外に出てドアを閉め、
この場の雰囲気を更に暗黒にしたそらるさんは、いつのまにかこの場から消えていた。
俺は、気が抜けてへたり込んでしまった。
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革ベルト
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るな(プロフ) - ぎゃーーーーー涙がーーーーー (2014年8月29日 21時) (レス) id: 8d24367ff0 (このIDを非表示/違反報告)
羅意思 彩月 - 感動でジーンときました。 (2013年9月15日 21時) (レス) id: 8eceea9d47 (このIDを非表示/違反報告)
オワタ ミク(プロフ) - 面白かったです\(^o^)/泣けてくる話でしたー! (2013年2月28日 22時) (レス) id: 4e16a5c933 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - 泣けました! 完結おめでとうございます! (2013年1月25日 4時) (レス) id: 30bc6ead24 (このIDを非表示/違反報告)
乃愛(プロフ) - 完結おめでとう! (2013年1月24日 13時) (レス) id: d7db411825 (このIDを非表示/違反報告)
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