chapter２ : 品物は多い方がいいでしょ? ページ3
「ルシいらっしゃい。待ってたよ」
“PUB メリーさま”の看板通り、店の中は洒落たパブだった。
店の中は広くはないが狭すぎず、酒の入った棚が壁いっぱいに並んでいる。
店へ入ると、まず目に入るカウンター。
その中にいる帽子を深く被った青年が、薄く笑いながら手招きをする。
「あ、そのコが噂の女の子なの？なーんか……ルシに似合わないなぁ」
「相変わらず情報だけは早い。でも、人のことを物のように言うその口は嫌いだ」
帽子の青年は肩をすくめてみせる。
「この仕事やってるとちょっとした噂話も入ってくるんだよ。正確さには欠けるけどね。
……で？そのコが噂のリーメンガの村の女の子ってことでいいんでしょ？
旅人が夜者から1人だけ救い出したって噂、たってたけど……
ちょ〜っとお話聞かせてもらっていいかなぁ？」
メグに対し興味津々な態度を示す帽子の青年をルシは睨みつける。
「幼い子供といえ、初対面の相手に名前も名乗らすに情報を探るとは、
見損なったぞ、お前」
ルシもついさっきまで僕の名前を知らなかったんだけどなぁ……。
メグはそう思ったが、空気を読んで黙っておく。
「ルシきゅんひどぉ〜い。……まぁ、レディに失礼だったね。お詫びするよ」
帽子の青年はメグの前に向き直って一礼する。
「ボクはリミィ。このパブのマスターやってるよ。裏じゃ、情報屋やってるんだケド。
ホラ、自己紹介したよ？君のこと……聞かせてほしいなぁ……」
“胡散臭い”ってこの人のこというんだろうなぁ。
メグは探るような視線を真っ直ぐに見つめ返す。
「……名前と出身地だけ言えばそれで良いぞ」
ルシがそう耳打ちしてきた。
「僕はメグ、11歳!……リーメンガの町から来たのは、ほんと！」
はきはきとメグがそう告げると、リミィがにやりと笑った。心なしか楽しそうにも見える。
「へぇ……僕っ娘かぁ。メグちゃん、よろしくね。
リーメンガ……噂は本当だったんだね。売り物、一つ増えたよ」
リミィはメグの頭をぽんぽん、と触る。
「こんな仏頂面といるのが嫌になったらボクのところにおいで。
ちょーっと手伝ってもらえたら……」
「黙れ、ド阿呆が」
「痛っ!?ちょと、ルシ、痛い痛い痛いギブギブ！」
ルシに両腕をね捩じりあげられ、リミィは涙目で悶えた。
「今すぐ飯の用意をしろ。酒とジュース、デザート付きな」
「わかった！わかったから離せ!肩の関節が変な方向に曲がってる!肘も外れる!」
chapter3 : ……今更過ぎるんだ。→←chapter １ : チビと言われるのは屈辱です。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灯鈴 | 作成日時：2015年1月10日 14時
