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シカマルの話はこうだ。

ヒヨがA一族の血継限界である血を用いて治癒を行う時、おそらく同じくA一族の何かしらの力によって周囲の人間は動きを封じられてしまう。そして、傷を負っていた者の痛みは全て術者であるヒヨに移るのではないか。

俄には信じ難い話ではあるが的は得ている。
止めようと思えば止められたはずなんだ。あの時だって。

放っておいても治るような怪我も治そうとするヒヨを何故誰も止めなかったのか。止めなかったわけじゃない。止められなかったんだ。体が動かなかった。ヒヨが自らの手にクナイを突き立てる時はいつもそうだ。それが自分に対してであろうと、他の誰かにであろうと、金縛りのように体は動かなくなった。

それが、歯痒くて仕方なかった。だから、強くなろうと思った。怪我なんかしないくらい。勿論、強くなりたい理由はそれだけじゃなかったが...最初はイタチを殺す為に強くなりたかった。そんな薄暗い俺の道に一筋の光を差してくれたのがヒヨだった。俺に強くなる理由を与えてくれた。暗い闇の中藻掻いていた俺を救い出してくれたあの笑顔を、俺が守りたいと思ったんだ。



「...ん、」



あの後シカマル達と別れ、一先ずヒヨを休ませる事にした俺達は川辺で休息をとっていた。
寝かせていたヒヨが小さく呻いた。気を失ったヒヨはずっとこの調子だった。俺とナルトと共に意識を失っていた時もヒヨは何かに怯えるようにずっと魘されていたとサクラが言っていた。
そのサクラもヒヨを心配そうに見ていた。ナルトもいつもの馬鹿みたいな顔を曇らせ、不安げにヒヨの手を握った。



「...俺ってば、ヒヨちゃんに何ッ回も、怪我、治してもらったってばよ」

「...私もよ」

「俺もだ」

「けどさ、その度に、ヒヨちゃん、俺の痛いの、全部貰ってくれてたかもしれないんだろ...!?」



そんなの、辛すぎるってばよ…

ナルトの言葉に俺もサクラも唇を噛み締めた。
シカマルの話はあくまで仮説だったが、もし仮に全てが事実だったとしたら、ヒヨは俺達の痛みを全てひとりで背負ってきた事になる。小さな痛みから、叫びたくなるような大きな痛みまで...あの細く頼りない背中に背負ってきたのだろうか。



*

3→←あくまで仮説



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設定タグ:NARUTO , 木ノ葉丸   
作品ジャンル:アニメ
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キーさん(プロフ) - 口調がとってもそれぞれのキャラそのものですごくリアルでした!いつか更新されることを願ってます…! (2022年5月19日 21時) (レス) id: 1d2c287881 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅双樹(プロフ) - 大人になった2人を見てみたいです!更新楽しみに待っています (2020年10月9日 18時) (レス) id: 9cc9adf25b (このIDを非表示/違反報告)
骸マホ(プロフ) - 続きがとても気になりました!更新頑張ってください!! (2020年7月7日 10時) (レス) id: 95e5fb87e1 (このIDを非表示/違反報告)
- すごく面白いです!!!!!!更新待ってます!!!!!! (2018年11月30日 19時) (レス) id: 8331a2d0c7 (このIDを非表示/違反報告)
色葉(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです!!早く大人になった木ノ葉丸との絡みが見たい(*・ω・*)wkwk更新待ってます!!頑張ってください!! (2018年8月26日 0時) (レス) id: eb23d37959 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆーい | 作成日時:2018年5月31日 19時

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