31●●○下がる眉 ページ33
.
「これは、その、あれですよ」
あたふたと、どうにかこうにか誤魔化そうと言葉を探すが、あたふたしすぎて出てこない。
「痛そー」
葉山先輩は眉を下げ、私の痣に指を滑らせて、ただ一言そう言った。
あれ?
もっと詳しく訊かれると思ったのに。
あっさりとした反応が逆に不自然に感じた。
まあ私的には追求されずに済んで嬉しいんだけれど。
そんな感じでそれから無言の時間が続いているけど、葉山先輩は相変わらず私の痣を触ったままで、いい加減くすぐったい。
葉山先輩の表情を伺ってみれば、何を考えてるのかわからない。
つまり無表情。
「あのー……、先輩? どうしました?」
「ん?」
「っ!? 痛っ!」
静かな雰囲気と葉山先輩の指にむずむずして、声をかけてみれば、頬に走る痛み。
先輩に痣を押されたんだということが分かるまで、そう時間はかからなかった。
「な、何するんですか!」
驚いて葉山先輩の手を払いのけると、先輩はまた眉を少し下げていて、こちらを見ていた。
「オレ、結構空気よめるっしょ」
先輩は落ちていたマスクを拾い、私の耳にその紐をゆっくりとかける。
「でも、心配なんだもん。相談、してね」
………そうだよね。
可笑しいって思うに決まってる。
葉山先輩の優しさに、警戒心をほぐされた気がした。
「ありがとうございます……。いつか、相談しますね」
「ん。絶対だかんね! あ、でも先に赤司に相談した方が良いのかもなあ」
「え? なんで征なんですか?」
突然征の名前が出てきたことが理解出来ずそう訊くと、葉山先輩は八重歯を光らせてにたっと笑った。
「赤司って、怒らせると恐いじゃん」
「はあ……?」
葉山先輩は納得出来ないという顔をしているだろう私を見るとまた眉を下げて、「じゃあ、そろそろ休憩終わるから」と言って、コートに居る実渕先輩と根布谷先輩の方へ走っていってしまった。
……眉を下げたいのはこっちのほうなんですけど、なんて思いながら、私は体育座りの足の間に顔を埋めて目を瞑った。
……のだが、すぐその目を開けることになる。
「具合でも、悪いのか?」
透き通る凛とした声に、私の瞼は素早く反応して瞳に光を通した。
ラッキーアイテム
黄色の湯豆腐
37人がお気に入り
「アニメ」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神無月光凛兎(プロフ) - snowmanさん» 質問いいですか?あのー字の色ってどーやって変えてるんてるんですか?ピンクだったんでどーやってるんだろと思いまして… (2015年5月11日 0時) (レス) id: d8364f007e (このIDを非表示/違反報告)
snowman(プロフ) - 和美/渚とカルマさん» ありがとうございます!続編公開遅れててすいません(><)もうしばらくお待ちください。大丈夫です!きっと、仲直りします♪ (2015年4月10日 16時) (レス) id: a3ebd09a9e (このIDを非表示/違反報告)
和美/渚とカルマ - 初めまして、続き頑張って下さい。征君と仲直りしてほしい。 (2015年4月10日 15時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
snowman(プロフ) - 彌莉椏(ミリア)さん» ありがとう!(*^.^*)そうだね♪励まし合いで更新率UPだね! (2015年3月31日 17時) (レス) id: a3ebd09a9e (このIDを非表示/違反報告)
彌莉椏(ミリア)(プロフ) - ファーストシリーズ(?)完結おめでとう(((o(*゚▽゚*)o))) 続編も応援してるよ!!Σd(・ω・*) お互い更新頑張ろー(m'◇'m) (2015年3月31日 17時) (レス) id: f64970fd2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:snowman | 作成日時:2014年12月7日 10時