14●●○赤い瞳 ページ16
．
「まだなのか………？」
「あともうちょいだよ」
生い茂る草をかきわけながら、丸太でつくられた階段を登る。
まあ、この公園案外広いし、ちょっと遠いかもな。
「………真っ暗だな」
「うん。月明かりもそこまで強くないし、今日は丁度良いかもね！」
「……？ どういうことだ？」
「はいっ！ 着いたよ！」
階段の最後の一段を登りきった瞬間、ばっ、と開けた場所に出る。
ここにたどり着いた時の開放感、好きなんだよな。
う〜ん、気持ちい！
おもいきり伸びをしてから、後についてきていた征の方をふりかえってみる。
「随分高いところにある空き地だな……。あ、下が眺められるんだ。住宅街が一望できるのか」
征は空き地の周りにある柵から下を覗きこんでいた。
まあ、下を覗いて見える住宅街の明かりもきれいかもしれないけどさ。
「ん」
「………１がどうかしたのか？」
「ちーがーう！ 上を見ろってこと！」
私は人差し指を高く上に突き上げた。
「あ………！」
「これが私が毎日ここに来る理由だよ」
私が見ろと促した上、すなわち空には、たくさんの星が輝いていた。
もちろん幾つかの星座も見つけられるくらい。
月明かりが弱いおかげで、今日はいちだんとたくさんの星が見える。
「綺麗だな…………」
「ありがと」
「ははっ。なんでAが礼を言うんだい？」
「……なんか嬉しいの」
ここの星たちは私しか知らない景色だったし、なんとなく自分のものだなんて思いがあったからかな。
征に綺麗って言ってもらえて凄く嬉しい。
「Aは、星が好きなんだな」
「あれ、言ってなかったっけ」
「ああ」
なんか……今征と二人で見てる星、今までここで見た中で一番綺麗かも。
天気も天体観測にはばっちりの状態だし。
征って運も持ってんのかな。
「オレも、毎日ここで星を見たいな」
「え……」
まるで意図せずにポロリと出てしまったというくらいの小さい声だったが、確かに征はそう言った。
驚いて隣に顔を向ける。
すると、その様子のあまりの美しさに、私はおもわず息を呑んだ。
征の瞳の中では、無数の小さな星たちが揺れていた。
「良い？」
「あ、うん、もちろん！」
そんな返事をする私を見て、征はふっ、と優しく笑った。
不思議なもんで、なんだか私の心まで星たちと、その赤い瞳の中で揺れているような感覚になった。
．
ラッキーアイテム
黄色の湯豆腐
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 37人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「アニメ」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神無月光凛兎(プロフ) - snowmanさん» 質問いいですか？あのー字の色ってどーやって変えてるんてるんですか？ピンクだったんでどーやってるんだろと思いまして… (2015年5月11日 0時) (
レス) id: d8364f007e (このIDを非表示/違反報告)
snowman(プロフ) - 和美/渚とカルマさん» ありがとうございます！続編公開遅れててすいません(><)もうしばらくお待ちください。大丈夫です！きっと、仲直りします♪ (2015年4月10日 16時) (レス) id: a3ebd09a9e (このIDを非表示/違反報告)
和美/渚とカルマ - 初めまして、続き頑張って下さい。征君と仲直りしてほしい。 (2015年4月10日 15時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
snowman(プロフ) - 彌莉椏(ミリア)さん» ありがとう！(*^.^*)そうだね♪励まし合いで更新率UPだね！ (2015年3月31日 17時) (レス) id: a3ebd09a9e (このIDを非表示/違反報告)
彌莉椏(ミリア)(プロフ) - ファーストシリーズ(？)完結おめでとう(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) 続編も応援してるよ！！Σd(･ω･*) お互い更新頑張ろー(ｍ'◇'ｍ) (2015年3月31日 17時) (レス) id: f64970fd2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：snowman | 作成日時：2014年12月7日 10時
